第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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るエレオノールは、魔法で空を飛ぶのとは違う感覚に不安気な顔をして士郎の首に回した腕に力を込めた。
「もう少しだ」
「あ……」
不安気に身を寄せてきたエレオノールに、優しく笑い掛けると、士郎と目が合ったエレオノールがどこか戸惑った様子を見せる。
「そ、その――」
「着いたぞ」
「ひゃっ」
エレオノールが何か言おうと口を開くと、それを邪魔するかのように士郎が地上に到着した。士郎が城の壁から地の上に飛び移った衝撃で、エレオノールの口が閉じる。
「な、何よもうっ……もう少しやさ、しく……」
「? どうした」
顔を抑えながら文句を言おうとしたエレオノールだったが、自分の今の格好に気付くと、声が段々と小さくなり、
「あ、あ」
「あ?」
「ああああなたたた何してるのよっ?!」
急に暴れだした。
「暴れるな、今下ろす」
「ひゃうっ!」
「怪我はないか?」
暴れだしたエレオノールを素早く下ろすと、突然下ろされバランスを崩したエレオノールが士郎の胸に倒れ込む。胸に倒れ込んだエレオノールの肩を掴み離すと、ガバリと顔を上げたエレオノールが兎のように飛び跳ねて士郎から離れた。
「ななんあなんあなに何したのよわたしに」
「何って? 何をだ?」
士郎から距離をとったエレオノールは、真っ赤な顔で士郎を指差す。士郎を指差す手は、ブルブルと細かく震えている。
「わ、わたしの身体にて、手を回して……それで、その……」
「すまない、嫌だったか。アレが一番安全な方法だったんでな」
「む……ぅ……そう……なら……いいわ」
苦笑いを浮かべながら謝る士郎に、エレオノールは真っ赤になった顔を背けながらも頷いてみせた。
顔を背けているが、真っ赤に染まった耳が丸見えのエレオノールの様子に笑い出す。
「そうか……助かる……しかし……くくく……」
「何笑ってるのよっ!」
「いや、すまない……ただ、ちょっとな」
「何よっ! 言いたいことがあるならさっさと言いなさいっ!!」
はぐらかす士郎に、エレオノールはずいずいと近づきながら問いただす。
「大したことじゃない。ただ、可愛いものだと思ってな」
「なっ?!!?」
予想外の、思ってもみなかった言葉に、エレオノールの顔が更に赤く染まる。湯気が出るほど、熱く赤くなったエレオノールの様子に、士郎の顔に浮かぶ笑みが更に深くなっていく。
「くくく……それではな。今度から窓に近づく際は気をつけておくことだな」
「待ちなさいッ!!」
呆然と立ち尽くすエレオノールに背中を向け歩き出した士郎に、エレオノールの制止の声がかけられる。
「……何だ?」
「あなた……名前は」
肩越しに振り向いた士郎に、睨み
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