第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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をッ!!」
呆れた顔を浮かべる士郎にエレオノールは両手を突き出して離れようとする。士郎は暴れるエレオノールに焦りながら下を見ろと忠告する。
「下って、なに……よ……ひっ! きゃあああ! きゃああああ」
「だから落ち着け」
下を見て自分の今の状況に気付いたエレオノールは、先程との反対に、悲鳴を上げながら士郎に抱きつき出す。
士郎たちは今、士郎はエレオノールの腰に腕を回した姿で、城の壁に突き立てたデルフリンガーにぶら下がっていた。エレオノールはきゃあきゃあと悲鳴を上げながら士郎を抱きしめる。士郎が何とかエレオノールを落ち着かせようとするが、全く上手くいかない。何時までたっても悲鳴を上げることを止めず、離れようとはしないが暴れるエレオノールに、これは以上はやばいなと判断した士郎は、
「落ち着け。大丈夫だ俺が絶対に助ける」
「へっ! ひゃ! ふぅわっ……ぁ……」
エレオノールの腰に回していた腕に力を込めると、耳元に囁くように、それでいて力強く声を掛けた。
逆らうことの出来ない強い力で引き寄せられ、耳元で囁かれたエレオノールは、ボンッ! と音がなる程の勢いで顔を真っ赤にする。急に力が抜け、ぐったりとなったエレオノールを、士郎は訝しげな目で見下ろす。
「どうした?」
「…………」
「ふむ……この隙に」
黙り込み、だらりと力が抜けたエレオノールの身体に、士郎は剣にぶら下がりながらも器用に腕を回すと、身体に力を込めて壁に立つような姿勢になる。
「エレオノール、俺の首に腕を回すんだ」
「う、で? まわ、す?」
「そうだ、ゆっくりでいい」
士郎の言葉に言われるがまま、エレオノールは士郎の首に腕をまわす。
「それじゃあ、いくぞ」
「いく……って?」
しっかりとエレオノールの身体が固定されるのを確認した士郎は、壁に突き立てた剣を一気に引き抜いた。
「え? ひっ! きゃあああああああああ」
「っと」
剣を引き抜いた士郎たちは、支えがなくなったにもかかわらず落下しなかった。
「きゃあああ……ああ……あれ?」
「大丈夫だと言っただろう」
士郎たちが宙ぶらりんになっていた場所は、足がかりや手がかりになるようなものがない、登ることも出来ず降りることも出来ない場所だった。高さはかなり高い。飛び降りればエレオノールはおろか士郎でも危険な高さだったため、士郎は飛び降りることを早々に諦めた。登るのもまた同じように手がかりになるようなものがなく、エレオノールを抱えて登ることは出来ない。
ならばと士郎が考えたことは、
「うそ……壁を……走ってる」
走ればいいというものだった。
士郎は垂直の壁を斜めに走っている。
軽やかに城の壁を走る士郎に抱かれ
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