第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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「は、ははは……あはははははははっ!!」
「ふっ……くくく……ハハハハッ!」
唐突に二人は笑い出した。
カトレアは片手を士郎から外すと、羽ばたくように揺らす。士郎の首に回した腕に力を込め、胸が押しつぶされているのに気付かず、カトレアはぎゅっと士郎に抱きついている。
「わたし……飛んでる……っ! 飛んでるわたしっ!! あはははははははははは」
「ああ、そうだな。寒くはないか」
「? 何ですかシロウさんっ!?」
轟々と風を切る音が邪魔をして、士郎の声が聞こえなかったカトレアは、腕にぐっと力を込めると士郎の口に耳を近づける。
「寒くはないかっ」
「っふふふ……くすぐったい。ええ、大丈夫です! シロウさんがとても暖かいから!」
「そうか」
士郎の吐息が耳に当たり、くすぐったそうに肩を竦めてみせたカトレアは、風の音に負けないよう大きな声で答える。
小さな……幼い少女のようにキラキラと輝く笑みを浮かべてはしゃぐカトレアの様子に、士郎の顔に優しい笑みが自然に浮かぶ。
空に輝くか細い星の明かりが消え、大きな強い光りが満ちる。
青々とした針葉樹の草原が広がる中、駆ける一つの影。
士郎とカトレア、そして二羽の青い小鳥との散歩は、その後暫らくの間続くことになった……。
「ふふふ……とても楽しかった」
「そうか」
小鳥との空中散歩を終えた士郎は、日が差し込んでくる森の中に立っていた。散歩を終えた士郎は、木の上ではなく地上に降りていた、未だカトレアを腕に抱いたままで。
笑いすぎでない理由で顔を赤くしているカトレアが、恐る恐ると士郎に顔を向ける。
「えっと……それで、あの……そろそろ」
「ん? ああ、そうだな。すまんな、今すぐ下ろす」
「あ、はい……っと、あれ? あっ?!」
「おっと、大丈夫か?」
士郎腕の中から地上に下ろされると、足に力が入らなかったのか、カトレアはふらつきながら士郎に倒れかかった。そんな倒れかかってきたカトレアを、士郎は抱きとめる。
「あっ……は、はい。だ、大丈夫です」
「そうか、それではどうする?」
「そうですね……明るくなってきましたし、そろそろ帰ろうかと思います」
「俺もついていくか?」
「大丈夫です。ここからそんなに遠くありませんので、そんなに心配しなくてもいいですよ」
「そうか、それではここでお別れだな」
「…………」
俯くカトレアの頭を軽くぽんぽんと叩くと、士郎はカトレアに背中を向けてゆっくりと歩き出した。
「……シロウさん」
小さくなる士郎の背中に向けて、カトレアは声をかける。
それは大きな声ではなかったが、士郎は立ち止まり振り返った。
「どうした?」
振
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