第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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いう男が目の前にいる。それじゃあ君はどうする?」
ん? と何処か悪戯っぽく士郎が聞くと、
「……ぷっ……ふふふ……シロウさん……本当にあなたという人は……もうっ……」
カトレアが唐突に吹き出した。
急に笑い出したカトレアは、士郎の腕の中で身体を震わせながら笑い続けている。
「……で、どうする?」
「ふふふ……それでは、お願いします」
「何を……かな」
目尻から溢れた涙を白く細い指先で拭いながらカトレアが頭を下げると、士郎は口の端だけを曲げた笑みを浮かべた。
「あの小鳥たちを……追ってください」
「くくっ……了解した。少し揺れるぞ、しっかり捕まっていろ」
「捕まる? どうすればいいのですか?」
「俺の首に両手を回すんだ」
「し、シロウさんの首にですか」
士郎の言葉に戸惑うカトレアに、首を差し出しながら説明すると、カトレアが『両手で……』と呟きながら両手を眺めだす。
「ああ」
「そ、それだと……もっとくっついてしまいます」
「ん? 何か言ったか?」
「っ?! な、ななな何でもありません。そ、それでは失礼して」
「よし、それではいくぞ」
首に両手が回り、士郎がカトレアに声をかけるが、
「…………」
カトレアは何も答えずぼ〜としていた。
「カトレア?」
「…………」
「カトレア?」
「…………っえ? な、何ですかシロウさん?!」
「いや、どうしたのかと思ってな? 急に黙り込んでどうし……いや本当にどうした顔が真っ赤だぞ」
「へっ?! い、いえっ!! 何でもありません!! 大丈夫ですッ!!」
「いや、本当に真っ赤だ。もしかして……」
何の反応のないカトレアに士郎が何度も声を掛けると、目の焦点が元に戻ったカトレアがわたわたと両手を振り出した。真っ赤な顔で目を伏せるカトレアに、士郎はどうしたのか? と首を傾げていたが、はっと何かに気付くと、顔をカトレアに近づけ出す。
「ひゃうっ……」
近付いてくる士郎の顔に、更に顔を赤くしたカトレアは、ぎゅっと目を瞑りながら身体を小さくし、ぷるぷると震えだした。
「熱はないようだが?」
「っ! え? あ……はぅ……は、はい……大丈夫です、よ」
コツンとカトレアの額に自身の額を当てた士郎が、首を傾げながら顔を離すと、小さなリスのように震えながらカトレアが小さく頷く。
「そうか……なら、いくか」
「はい……お願いします」
士郎が笑いかけると、カトレアは真っ赤な顔で頷いてみせた。
跳ぶ、翔ぶ、飛ぶように士郎は木の上を掛ける。
草原を駆けるように、木から木へと飛び移る士郎。そんな士郎の周りを、鳥たちがじゃれつくように飛び回っている。
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