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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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予想はしていた。その際、アンリエッタが望んでも望まなくともルイズの力が求められるだろうとは思っていた。
 そして、ルイズがそれに応えるだろうということも。 

『……いいんだ……覚悟はしていた……こうなる可能性があるということを含めて、ね……』

「……ッ!! 守られてばかりだッ!!」

 男の左手に描かれた文字が輝きだし、さらに男の動きが速くなる。霞む程の速度で振るわれていた剣は、既にその姿を見ることは叶わない。男の動きも更に速くなる。男が動く度に、大地に深い線が描かれた。既に柔らかな土は全て吹き飛び、地下の硬い土が姿を現している。その硬い土を更にめくりながら男は動く。

 だが……戦場から離れさせることが本当にいいことかわからない。
 ルイズの行動力は尋常じゃない。目の届かない場所にいれば、一体何をするのか……。
 それならば、危険であっても戦場に共にいることにすれば……。

『さ、て……羨まし、かったのか……それ、とも……憧れ、た、のか……だか、ら、かな……き、み……のまね、ごとを、した、のは……ね』

「俺……は……俺、はッッアアァッ!!」

 両手の剣を振り下ろす。
 地面ギリギリで剣が止められるが、衝撃波だけで硬い土が抉れる。 

 ルイズは随分と成長した。
 シエスタとも腹を割って話すようになったし、マチルダに何かを相談している姿も見かけた。
 キュルケとは相変わらず喧嘩をしてばかりだが、あれは喧嘩するほど仲がいいというものだろう。
 なら、もう大丈夫だ……。

『……ぁぁ……もう、なく、んじゃない……こん、なこと、で……こうい、うのはもっとだい、じなひ、とのため、にのこ、しと、け……』

「……ハァッ……ハァッ……ハァ……はぁ……っ……」

 肩が微かに上下に揺れていたが、直ぐに平に治まる。額にはうっすらと汗がにじんでいるが、ただ、それだけだ。男が立つ範囲二〜三十メイル内は、局所的な竜巻が起こったのかと思うほど荒れているが、男はそれを成したとは思えないほどの落ち着きを見せている。
 呼吸が正常に戻ると、男は時間を確かめるように空を見上げ、

 例え……俺がいなくなったとしても……。

『この……てい、ど、で……ゆれ、る、な……ば、か……せい、ぎの、みか、た……に、なる……ん……だ……ろ』

「っ! 誰だッ!?」

 唐突に顔を横に向けた。
 男が顔を向けた先にいたのは、

「す、すいません」

 桃色がかったブロンドに柔らかな目つき。 
 すらりと伸びた身体は女性らしいふくよかさが。
 鳶色の瞳が美しい目は大きく見開かれ、身を守るかのように胸の前に寄せられた手は小さく震えている。
 
「ちょ、ちょっと散歩をしていたのですが……その、ぐ、偶然ここを通り
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