ラッキーは無罪
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系の悲鳴を上げて、トーリを殴り飛ばしていた。
その先に点蔵が出て来ていたので、そっちは問題ないだろうと思い、無視した。
どうやら、相手しないといけないのは目の前に現れた女に変更になったっぽいっし。
とっ、と軽い音と共に目の前五メートル先に立花・ァが降り立った。
軽い音である。
幾ら、目の前の女の体重が軽いとしても、あんだけ巨大な義碗と双剣を持っていて、艦橋からここまでは二、三十メートルくらいの高さである。
それなのに。苦どころか、まるで、階段を一歩降りてきたかのような気軽さである。
姿勢制御とバランス感の賜物だろう。
目の前の女が決して、隆包のおっさんよりも弱いなんて決めつけは出来ないという証である。
とりあえず、目の前の女も四発ぶち込んだから少し、冷静になったようなので会話を試みておく。
「よぉ、立花・ァでいいんだよな? 旦那の敵討ちかい?」
「まさか」
こちらの軽口に首を振って答える立花・ァ。
お? と少し、目の前の女に対する認識を変える。
てっきり、返して下さいなどと言うから、夫の敵を討ちに来たとかいうので来たのかと思ったが、これは完全にこっちが相手を舐めていた。
こりゃ、人を見る目ないな、とどうでもいい事を考えつつ、とりあえず、会話をまだ続けてみる。
「ほう? じゃあ、復讐以外に俺を狙う理由は何だよ?」
「無論───夫の復権を」
「ああ……返してっていうのはそういう意味かよ。そりゃまた」
前向き思考な事で、と内心で呟きながら、こいつは敵だと改めて認識し直す。
単純に武蔵の敵になるとか言う認識ではない。
俺の疾走を邪魔することが出来る障害としての敵と言う認識。
それは何も理由だけじゃない。
「てめぇ……俺の歩法を見破りやがったな……」
「Tes.と、自慢したい所ですが、見破ったことによって逆に貴方の実力が疑いようがないという事を証明してしまって素直に喜べませんが」
そりゃどうもって言いたいが、俺としてはそれで斬れていないので、別に嬉しくない。
「貴方の歩法とやらは、言うだけなら簡単ですね……簡単に言えば、貴女はこの場にいる全員からズレたという事です」
どういう事だ、と周りの疑念が空気に伝わり、立花・ァはその空気に頷きながら、こちらから視線を外さない。
「簡単な所から言えば、視覚から。そして全知覚、全タイミングから貴方は周りから解らないようにズレているのです」
一息。
「一つ一つは小さい隙間なのでしょうが、それらが全て噛み合った時に、貴方は知覚外へ抜け、誰にも認識できなくなる」
そして
「それに対抗する手段はただ一つ───ならば、自分も何時もの自分からズレるのみです」
故に息を止め、何時もの自分とは違う心拍数に変わり、
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