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不可能男との約束
ラッキーは無罪
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く、だが、その束縛される場所が違う。

「……っ、嫌気という事か……」

つまり、そういう事なのだろう。
自分に対して、余り好きではないとか、そういう部分に対して嫌気が空間に束縛するように働く。
見たところ、全員無事という事から、殺傷能力はないらしい。
その事に内心、安堵を得るが

「くっ……! まさか、最近頭の髪が後退しているのを気にしているのをこんな場面で公開することになるとは……!」

「な、何だこの両足全体にかかる束縛は……! ま、まさか、俺の嫌気が短足であることを責めているのか……!?」

「や、やべぇ……きょ、今日、鏡で見て気になった眉毛の形に嫌気の束縛がかかって、もっとファンシーな眉毛の形になってしまったぞ! しかも、それだけで動かなくなるって言うのはどういう事だ!?」

「だ、大丈夫ですわ! ほ、ほら、正純……わ、私達は別に、む、胸が無い事で僻む様な小さい器じゃないですわよね!?」

安堵の後にいらん物を見せられたせいで、一気に頭が冷えた。
というか、ミトツダイラ。私を巻き込むな。
とりあえず、元気そうで何よりだ、と適当に思いながら、視線を直ぐ傍に向けると、感情は一瞬凍結された。

「……ホライゾン!?」

彼女の姿は最早、ほとんど見えなくなったと言うと言い過ぎだと思われるかもしれないが、それくらい私達とは比ではないくらい束縛されていた。
体の全箇所が嫌気という光に束縛されている。
凄惨な光景と言ってもいい姿に、味方はおろかかけた本人であるフアナも少し驚きの表情を浮かべていた。
しかし、こちらがそれを見ているという事に気付いたのか、すっと表情を消して、そして語った。

「成程……感情はおろか、記憶や体の全てを奪われた喪失の姫……故に何もかもが"足りない"と、そう思っているんですね」

その言葉が頭の中で事実であると計算したが故に正純は唇を噛んだ。

そんなのは……!

誰にでもある事だろうと、言う所だが、彼女の場合は失った物が多すぎる。
元々、武蔵はそういった人間が集まる所ではあったが、だからと言って、ホライゾンは少々特殊過ぎる。
どうすればいいか解らなくて、しかし、何とかしてやりたいと思い、正純は彼女を束縛している光に手を伸ばして何かをしようとした。

「───」

すると、ホライゾンの口から、しっかりとした苦鳴が漏れる。
それに気付き、慌てて、正純は手を引きながら、原因を知り、すまないと内心で謝る。
自分に対する嫌気を他人にいきなり知られ、比喩表現無しに触られたのである。
明かす覚悟も資格も持っていないかもしれない相手が、それを触れたのである。痛いに決まっている。

……だが、どうする!?

見たところ、この大罪武装に死角はない。
敢えて言うな
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