第一章
[2]次話
瞬間接着剤は押せ
大学生の松本雄大は今所属しているサークルのプラモ研究会でプラモを作っている。茶色にした髪の毛を真ん中で分けている。面長で大きなきらきらした目と小さな唇を持つ一七二位の背の痩せた青年である。作っているのはシャーマン戦車だ。
その作っている姿を見てだ、同じブラも研究会に所属していて友人でもある坂本林蔵が言ってきた。一七〇位の背で太った四角い顔に小さな目と短い黒髪を持つ青年だ。
「瞬間接着剤で作っているんだな」
「僕はいつもそうなんだ」
松本はガンダム、ダブルゼータを作っている坂本に答えた。
「接着剤は瞬間なんだ」
「前からかな」
「中学からかな」
瞬間接着剤を使いはじめたのはというのだ。
「すぐにくっつくからね」
「名前通りに」
「だから使ってるんだ」
「怖くないかい?」
坂本は普通のセメンダインを使いつつ松本に問うた。
「瞬間だと」
「ああ、手に付いたらだね」
「名前通りにね」
「すぐにくっつくからね」
「瞬間接着剤は凄いよ」
坂本は素直に認めた。
「本当に」
「本当に瞬間でくっついてね」
「離れないからね」
「凄いものだよ」
「それを使って」
そしてというのだ。
「確かにすぐにくっつくけれど」
「くっつくのはプラモだけじゃないからね」
「僕達もだよ」
「そう、指と指がくっつくなんて」
「あるね」
「プラモデルを作っていたら」
実際に作りつつ言う、二人共塗装は組み立ててからしようと考えていてまだそちらは行ってはいない。
「接着剤が手につく」
「どうしてもね」
「そうなるからね」
「だから僕はね」
坂本は笑って話した。
「接着剤は普通だよ」
「普通のものを使うんだね」
「そうだよ」
「大丈夫だよ」
笑ってだ、松本は答えた。
「くっついても」
「そうかな」
「くっついた時に見せるから」
坂本に笑って話した、そしてだった。
実際に作っていく中でだ、松本の親指と人差し指の先がくっついてしまった。丸を作る形でそうなってしまった。
「ああ、やったよ」
「そうなるんだよね、瞬間接着剤」
坂本は松本のそうなった指を苦笑いをしつつ見て言った。
「僕は一度使って」
「こうなったんだね」
「それで剥がすのに苦労したから」
「一気に引いたら皮が剥がれるからね」
くっついたその部分がだ。
「慎重にね」
「ゆっくりと引いて」
「剥がしたね」
「そうなったからね」
だからだというのだ。
「僕はね」
「そう、引いたらね」
そうしたらとだ、松本は言った。
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