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或る皇国将校の回想録
第二部まつりごとの季節
第二十七話 馬堂豊久と午前の茶会
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なた、今日は史学の先生がいらっしゃるのではなかった?」
 背後から聞こえた聞きなれた声に碧は膠着する。そろりそろりと背後へ視線を向けるとそこには無表情に妹を見据える弓月茜が居た。

「・・・・・・アイエェェェ?」
 その背後に居る義兄候補が視線を逸らしたのを見て、完全に膠着した妹に優しく微笑しながら姉は問いかける。
「葵に引っ付いて無理やり逃げてきたのだろうけど。もうそろそろ私と帰った方が良いと思うのですが、ご返答は如何に?」
助けを求めるべく視線を彷徨わせるが、既に屋敷の若主と使用人たちは見送りの準備にとりかかっている。
「・・・・・・後二刻くらい、ゆっくりしません?ほら、積もる話もありますよね!私もいっしょに――」

「お話の前に、お勉強が必要だと思わない?」
 僅かに唇の角度を変えて茜が云うと碧もがくがくと頷く。
「えぇ、私もそう思っていましたの。えぇ本当に」
 悄然と肩を落とし、碧も茜に連行されることになった。
 それでも見送りの者達が送る生暖かい視線に微笑み返すことで碧は最後の矜持を護りぬいたのであった。



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