第二章
[8]前話
「あのお話ですね」
「鰐と言っていますね」
「いえ、あれは鮫です」
聖子は正直に答えた。
「たまに無責任な飼い主が捨てたと逃がしたとか」
「そうしたお話がありますか」
「ですが日本は寒いので」
鰐が生きるにはというのだ。
「冬があるので」
「雪が積もりますね」
「そうなりますから」
だからだというのだ。
「鰐は過ごせません」
「それではあの鰐は」
「今お話させてもらった通りに鮫でして」
「そうなのですか」
「鮫を方言で鰐と呼ぶ地方もありまして」
「それで鰐ですか」
「はい」
そうだと答えた。
「あれは鮫です」
「そうなのですね」
「日本に鰐はいないですね」
「動物園位ですね、いるのは」
「そうですか」
「左様です、ただ」
ここで聖子はアイーシャに笑って話した。
「どちらも食べます」
「鰐も鮫もですか」
「そうしたお店もあります」
「日本ではそうですか」
「よかったらどうですか。エジプトはイスラムですが」
「宗教的な戒律ですね」
アイーシャも応えた。
「イスラムでは食べものの制約がありますし」
「そちらは大丈夫か」
「そこは基本駄目な食材でもアッラーに謝罪すれば」
アイーシャは聖子に笑って話した。
「これ位のことはアッラーは許して下さいます」
「そうですか」
「ですから」
それでというのだ。
「ご安心下さい」
「それでは」
「そのお店を紹介して下さい」
「ではお仕事の後お願いします」
「そうさせて頂きます」
聖子は笑顔で応えた、そして二人で仕事の後夜にまずは鰐料理を出してくれる店を次に鮫を出してくれる店に案内した。するとアイーシャはどちらも美味しいと笑顔で言ったのだった。日本の鰐のことがわかったうえで。
日本に鰐はいるか 完
2024・12・17
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