第二章
[8]前話
この話がクラス内で知れ渡っているのを見てだ、先生から言った。
「実は先生若い頃は痩せていたんだぞ」
「あの噂本当だったんですか」
「先生昔は痩せていたって」
「そうだったんですね」
「皆見てくれ」
ここで先生はクラスに映像設備を出した、そして実際に大学時代の自分の画像を見せた、そこには二十年前の先生がいたが。
「大学生の頃の先生だ」
「うわ、すらってしてるよ」
「凄いスマート」
「イケメンじゃない?」
「もてそうだな」
「そうよね」
「中学から大学までテニスをやっていてね」
先生は笑って話した。
「痩せていたんだ、それでも四十にもなったら」
「そうなるとですか」
「太るんですか?」
「そこまで」
「そうだよ、もうテニスもしていないしね」
話は笑ったまま為される。
「それでこの年齢になったら髪の毛がなくなるか」
「太るか」
「そうなるんですか」
「四十になったら」
「どっちか。あと歯が抜ける人もいるし白髪の人もいるよ」
そうした人もいるというのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「先生は太ったんですか」
「そうなったんですか」
「そうだよ、だから皆太りたくなかったら運動しようね」
更正と達に話した。
「四十になったら皆こうなるかも知れないからね」
「あんなに痩せていた先生がこうなるなんて」
「歳取ると注意しないとね」
「髪の毛のことも」
「歯のことも」
まだ子供であるクラスの生徒達は顔を見合わせ合って口々に言った、だがこの話はすぐに殆どの生徒が忘れた。しかし。
彼等はその頃の先生の年齢になってわかって思い出した、そして八十過ぎになっても太っている先生に同窓会の時に言われた。
「皆あの時の先生の言ったことわかったかな」
「はい、わかりました」
「身を以て」
「そうなりました」
見ればどの生徒だった今は中年の者達もだった。
太っているか髪の毛が薄くなるか両方か、歯が抜けた者もいれば白髪の者もいる。それでわかったのだった。その時先生が言ったことが。
太った先生 完
2024・12・17
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