第一章
[2]次話
太った先生
その小学校の六年一組の担任である関口剛夫は丸々と太っている、見事な二重顎で腹は見事に出ている。体全体が丸く一八〇近い長身だがそれ以上にその体格が目立っている。
黒髪をストレートで肩まで伸ばしていて眼鏡をかけている、性格は温厚で優しくどの生徒にも公平で生徒からの評判もいいが。
「先生太り過ぎ」
「そこまで太ってると健康に悪いですよ」
「運動した方がいいですよ」
「健康診断引っ掛かりますよ」
「いや、健康診断ではいつも肥満と出ているけれどね」
先生は笑って話した、スーツからも身体がはちきれそうだ。
「先生糖尿病とかの予備軍にもなっていないから」
「そうだといいですけれど」
「本当に気を付けて下さいね」
「太り過ぎ本当によくないですから」
「危ないです」
「今体重百十二キロだけれど」
それでもというのだ。
「これ以上にならないといいかな」
「百キロ超えてるなんて」
「本当に大丈夫ですか?」
「病気にならないで下さいよ」
「絶対に」
クラスの生徒達からはそう言われている、兎に角だ。
関口は太っていることが言われていた、いつもその身体を苦しそうに動かしている。そんな日常であるが。
ある日だ、クラスの一人がこんなことを話した。
「先生若い頃は痩せてたらしいぞ」
「えっ、そうなの?」
「あの先生が?」
「若い頃痩せていたのかよ」
「それ本当?」
「ああ、先生って大学の時五年二組の担任の堀沢先生の後輩だったらしいんだ」
このことを話した。
「それであの先生が言うにはな」
「先生痩せてたのかよ」
「大学の頃は」
「若い頃は」
「そうだったの」
「だからな」
それでというのだ。
「堀沢先生に行ったらな」
「わかるんだな」
「先生が昔痩せていたことが」
「そのことが」
「ああ、聞いてみようか」
こんなことをクラスで話したが、ふとだった。
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