第一章
[2]次話
地味なお客の正体
毎日店に来てくれる、だが。
その客は極めて地味でだ、店員の林友希茶色の髪の毛をショートにしていて大きな垂れ目で丸い顔を持つ一四六程の背の彼女は店のシェフの欠端辰徳に言った。欠端は長身できりっとした顔でごつい身体をしている。
「いつもの人ですが」
「いつものだね」
「はい、野菜ラーメンです」
「わかったよ、しかしね」
欠端は注文を受けてから言った。
「毎日うちに来てね」
「この時間にですね」
「注文してくれるけれど」
「若し入店された時にチャイムが鳴らないと」
「わからないね」
「お店のドアが開いても」
「地味な人だよ」
こう言うのだった。
「他の子達も言ってるけれど」
「本当に地味ですね」
「毎日この時間帯に来てラーメン食べて」
「他のメニューは頼まれないです」
「うちのファミレスの近くに暮らしてる人かな」
「そうかも知れないですね」
「けれどね」
欠端はそれでもと言った。
「本当に地味過ぎて」
「お店に入店を知らせるチャイムがあってよかったですね」
「退店も知らせてくれるし」
「だからね」
「いいですね」
「うん、万が一食い逃げの人がいても知らせてくれるし」
「チャイムは必須ですね」
こうした話もしてだった。
その客にラーメンを出した、友希は大学生で店にはアルバイトで来ていてキャンバスライフも楽しんでいたが。
その中でだ、友人の遠山愛美友希と同じ位の背で童顔で黒髪を長くしている彼女にある作家を紹介された。
「純文学で左勝則っていうの」
「それでその人の作品がなの」
「文章が上手で」
それでというのだ。
「構成も登場人物もね」
「いいのね」
「それで読み終わった後も」
読後感もというのだ。
「凄くいいから」
「お勧めなのね」
「ええ、よかったらね」
友希がというのだ。
「読んでね」
「わかったわ」
友希は愛美の言葉を受けてだった。
その作家の本を読んだ、すると彼女もいいと思い。
その作家の本を読んでいった、その中で愛美に言われた。
「今度この人のサイン会行われるの」
「そうなの」
「それも私達が行ける本屋さんでね」
「それでサイン会一緒になのね」
「行かない?何でも作者さんこの辺りで暮らしていて」
家があってというのだ。
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