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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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 レナス、ヴァルトさん、ラムルを連れて────私は、黒い魔獣の許へ急ぐ。

 魔獣は未だ、取り巻かせていた風が消えたことに困惑しているらしく、全員が【認識妨害(ジャミング)】をそれぞれ発動させていることもあって、近づく私たちには気づかれていない。

 魔獣にある程度近づけたところで、レナスとヴァルトさんが左方向へ、ラムルが右方向へと逸れていく。

 全員で正面から向かえば、逃げられてしまう。分散して、退却を妨害するのが目的だ。

 魔獣が我に返る前に配置につきたい一心で、私たちは直走る。しかし、そう旨く事は運ばず、あと少しというところで魔獣が視線を廻らせた。

 ────まずい、気づかれる…!

 仲間たちは、まだ目標地点まで辿り着いていない。

 一斉に姿を現す予定だったのを変更して、私は魔獣の気を引くために、【認識妨害(ジャミング)】を解いた。

 魔獣が、私を認識して、魔力を廻らせ始めたのを感じ取る。

 私は地を蹴って、完全に身体能力が上がる前に、魔獣に肉迫して太刀を振るう。【聖剣】ではなく、【夜天七星】の太刀だ。

 太刀が【聖剣】ではないからか、魔獣は寸足らずの大剣で迎え撃った。【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動してはいるものの、やはり魔獣の膂力には敵わず、私は後ろへと押し出される。

 不意に、魔獣の腕に複数の血管のような筋が浮き上がるのを目にした私は、自ら後ろへと跳ぶ。

 魔獣が私を追って跳び───レナス、ヴァルトさん、ラムルが魔獣の後方に回り込む。

 ラムルが【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させるために解いていた【回帰】を再び発動させたのを機に───三人は腕時計に施してある【認識妨害(ジャミング)】を解除して、その存在を現した。

 魔獣が後方に気を取られたのを好機と見て、私は太刀を【聖剣ver.9】に替えて、着地と同時にまた魔獣に向かって跳ぶ。そして、太刀のままの【聖剣ver.9】で、魔獣が握る漆黒の大剣へと斬りかかった。

 魔獣が我に返ったときには遅く、【聖剣】は黒い剣身を斬り飛ばした。次いで、また地を蹴って、魔獣の懐を目指す。

 黒い魔獣が後退しようとするも、右後方にはレナスとヴァルトさんが───左後方にはラムルが待ち構えている。

 魔獣は後退することを止め、私に向かって、太刀よりも短くなった漆黒の剣を投げつける。

「【(プロテ)(クション)】!」

 魔獣の行動を予測していた私は、魔力の盾で黒い【霊剣】を弾き返す。

 魔獣は───私が避けるか、【聖剣】で斬ると考えていたのだろう。剣を投げた直後にこちらに向かって前進していた魔獣は、魔力の盾に激突した。

 衝撃で後ろに押し出されながらも、重心を低くして
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