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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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示す。
二人とも目立ったケガなどはなさそうだが、見るからに疲弊している。無理もない。ベテラン冒険者でさえ、肩で息をしている者や座り込んでいる者がいるほどだ。
「わかった。二人のことは任せてくれ」
「頼む」
ディドルは一瞬だけ安堵したような表情を浮かべた後、また表情を引き締めて背を向けて奔り出した。
アーシャとハルドは、一緒について行きたそうにしながらも、その背中を見送る。二人とも、今の自分では足手まといになると解っているのだろう。
ガレスは、ぐるりと周囲を見回す。見る限り、緊急性がありそうな───命に係わるような大ケガをしている者はいない。それだけを確認すると、ガレスは声を張り上げた。
「ここの魔物は殲滅できた!残っている魔物を探して掃討する!まだ動けるパーティーはついてきてくれ!」
そこかしこから、しっかりとした声で返答が上がる。予想していたよりも返ってきた声が多い。
「アーシャとハルドはここで待ってろ」
「いえ、行きます!」
「わたしも行きます!」
「ダメだ、待ってろ」
「魔獣と戦うのは無理でも、魔物ならまだやれます!」
ハルドが言い切り、アーシャも頷く。二人の眼には強い意志が表れていて、決意を翻しそうにない。
それに、確かに疲労が見てとれるが、まだ体力は残っているように見えた。
「わかった。それじゃ、オレたちの援護をしてくれ。だが、決して無理はするなよ?」
「「はい!」」
「エイナ、ユリア───行くぞ!」
「ええ!」
「はい!」
ガレスは、エイナとユリアに加えて、アーシャとハルドを引き連れて、足早に進む。後ろからは、冒険者たちが続々とついてくる。
しかし、その行進はそう進まないうちに止まった。
「な、なんだあれ……」
誰かがそう呟いたが、それに答えられる者はいない。ガレスにも答えようがなかった。
それは────異様な光景だった。
目に入ったのは、全長4mはあるオーガの魔獣だ。その魔獣は真っ黒い毛色をしていて、肌も黒ずんでいる。これだけでも異常なのに────両手の先に真っ黒のメイスのようなものがついていた。
黒い魔獣は、何度も何度も、その両手を自分の足元に烈しく叩きつけている。目を凝らすと、そこには一人の少女がいて────少女は魔獣が繰り出す両手を何とか回避し続けている。
あの少女はリゼラだ。何故かリゼラ一人で戦っている。
助けに行かなければ────ガレスはそう思う一方、行くべきではないとも思う。
あれは、リゼラだからこそ避けられるのだ。実力が足りないだけでなく、疲労で鈍っているガレスたちが行ったところで、リゼラの足を引っ張りかねない。
魔獣が、右腕を大きく振り被った。
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