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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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の丈夫さと骨に阻まれ、それ以上は刃を進めるには力がいる。

 もう私の魔力はほとんど残っていない。辛うじて残っている魔力を循環させてはいるけれど、【魔力結合】と【身体強化(フィジカル・ブースト)】は解除していて再び発動させることはできない。

 だからといって────諦めるわけにいかない。

 私は、残った僅かな魔力をすべて右腕だけに結合させて、強引に【誓約の剣】を振り抜いた。

 切り離された魔獣の首が飛び────私の視界が開ける。

 いつの間にか夜が明けていて、雲一つない青空が眼に入ったが────次の瞬間、視界が傾き、首を失った魔獣の黒い毛に覆われた胸しか見えなくなった。

 自分が落下していることに───しかも、魔力不足で力が入らないことに気づき、焦る。さらに最悪なことに、左腕を押さえつけられ前屈みになっていた魔獣の身体が、私に向かって傾れ落ちてきた。

 魔力で身体強化できない状態で、魔獣の重量に押し潰されたら、無事では済まない。

「リゼ…ッ!」

 レド様の私を呼ぶ声に顔を傾けると、レド様が私の落下地点へと奔り込んで来るのが見えた。このままでは、レド様まで魔獣の下敷きになる。

 だけど、どうにかするには魔力も時間も足りない。

 ────レド様…!

 不意に私を覆っていた影が消え、視界が明るくなった。何とか目線を廻らせてみれば、仲間たちが魔獣の死体を後ろへと押し倒してくれていた。

 ────良かった…。これで、レド様が魔獣の下敷きになることはない。

 私を受け止めるために、レド様が両手を広げる。

 レド様に迷惑をかけてしまって申し訳ないと思いつつも────私は安堵して、瞼を閉じた。


※※※


 魔物の群れの最後の1頭であるオークを、『黄金の鳥』の剣士ドギが討ったとき────まだ日は差していなかったものの、空が白み始めていた。

 二つの月は沈んでおらず、明るくなりつつある空に月が浮かんでいる様は不可思議な気分にさせる光景であったが、それに気づいた者はいなかった。

 ガレスたちは魔物を掃討しながら前進していたので、今いるのは橋を渡って道幅が広くなっている個所だ。橋を渡った時点で列は崩れ、BランクパーティーとCランクパーティーが入り混じって展開していた。

「ギルマス!」

 本当にこれが最後の1頭なのか───討ち洩らした魔物はいないか確認していたガレスは、大声で呼ばれ振り向いた。呼んだのは、ルガレドの補佐として参加していたBランカーのディドルだ。

「こちら側の魔物は全滅した。俺はルガレド様の許へ戻る」
「そうか、わかった」
「この二人を頼む」

 ディドルはそう言って、傍らにいるアーシャとBランクチーム『氷姫』のハルドを目線で
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