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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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・ナイト》の正装】を起動させ続けるには足りない。

 地下遺跡の【魔素炉(マナ・リアクター)】も同様だ。アーシャやハルドが魔術を行使する分を補うことはできても、【聖騎士(グローリアス・ナイト)の正装】を起動させるには足りない。

 他に何か────何か手立ては────

「っく!」

 振り下ろされた魔獣の右手を避けるために跳んだ直後、間髪入れずに私の着地した瞬間を狙って左手も振り下ろされる。

 太刀で何とかいなすしかない────そう思って、【聖剣】を振り上げようとしたとき、凄い勢いで飛び込んできた鮮やかな光を纏った何かが、魔獣の左手を押し返した。

 纏う光の色合いも違うし、威力もかなり増しているけど────あれは、【フェイルノート】の矢だ。こちらの状況に気づいて、ジグが撃ち込んでくれたのだろう。

 魔獣が右腕を横薙ぎに振るい、私はバックステップでそれを避ける。魔獣は一歩踏み出して、今度は左腕で薙ぎ払おうとしたが───魔獣の顔を白銀の矢が襲い、魔獣はそれを弾くために腕を振り上げた。

 魔獣の気が逸れたのを機に、私は魔獣の懐に向かって奔る。

 【聖剣ver.9】を大太刀に変えて両手で握り、右下方で構える。間合いに入ったところで、その腹を斬るべく大太刀を振るう。魔獣はそれを右手で受け止めた。

 私は、魔獣の右手に食い込んだ大太刀を振り切ることなく、柄から両手を放して、さらに踏み込んだ。そして、左手に【誓約の剣】を取り寄せる。

 私を阻止するために振り上げた魔獣の左腕を、ジグが放った【フェイルノート】の矢が押し止めてくれる。私はそのまま、【誓約の剣】を振り抜いた。

 だけど────やはりというべきか、魔獣は後ろに跳び退き、私の刃は掠っただけで終わる。

「駄目か…!」

 私は【聖剣ver.9】を【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】でアイテムボックスへと送りながら、後方へと退く。魔獣がまるで私に引き寄せられるように、こちらへ踏み出す。

 すぐに振り下ろされた魔獣の右手を、【誓約の剣】でいなして───左手による追撃を跳んで躱した。

 黒い魔獣の猛攻は止まらない。いなしても躱しても、血でできた歪な拳を絶え間なく叩きつけてくる。魔獣が、また右腕を振り被って、その漆黒の拳を高々と突き上げた────次の瞬間。

「ッ?!」

 何処から現れたのか────眼を焼かれそうな、燦燦と輝く太陽のごとく眩い光が、魔獣の右腕を呑み込んだ。

 あまりの眩しさに、私は眼を護るために両腕を翳す。何かが細かく弾けるような音が微かに響き、両腕の向こうで光が膨張して────瞬く間に消え失せる。

 両腕を解いて状況を確認すると、眼に入ったのは────いくつもの肉片となって、崩れ落ちて
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