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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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血に紛れて飛ぶラムルの血は、やけに鮮烈に見えた。
「ラムル…!!」
ラムルの許へ駆け寄ろうとしたとき、黒い魔獣が反転して両腕を振ったのが、眼の端に映る。
魔獣の正面には、レナスとヴァルトさんがいる。二人は、咄嗟に手に持つ得物を振り翳したものの、それで防げるはずもなく────赤黒い礫をもろに食らう。
ラムルに続いて、レナスとヴァルトさんが崩れ落ちる。
「レナス!ヴァルトさん!」
魔獣が、再び私の方へと振り返った。ラムルの許へ行こうとしていた私は逆方向に跳んで、魔力の盾を築き上げた。
「【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】ッ!!」
私を追って飛んできた赤黒い礫を魔力の盾で何とか防ぎながら、魔獣の方を窺うと────魔獣は追撃するでもなく佇み、手首を失った両手を天に突き上げている。
その傷口から溢れ出た赤黒い血が凝固し、噴き出し続けている血がそれを覆ってまた凝固して────まるで膨張するかのように体積を増していく。
それは、しまいにはハンマー、いや────棘が付いたメイスのごとく
体
(
てい
)
を成す。見る限り、私の上半身ほどある。
あれを────あんなものを、魔獣のあの膂力で、動けない仲間たちに叩きつけられでもしたら─────
両手の変形を終えた黒い魔獣が、私へと視線を据える。
幸いなことに、ちょうど礫の雨が降り止み───【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】を解除すると同時に地を蹴って、仲間たちが倒れている場所と逆方向に跳ぶ。少しでも距離を開けようと奔るも、すぐに追いつかれた。
魔獣がその異様な腕先を振り下ろし、私は【聖剣】で迎え撃った。
「っ?」
【聖剣】は魔獣の腕先に食い込みはしたものの、刃が進まないどころか押し戻され、表層を削ぐだけに留まる。
「!!」
私は、刃を滑らせて太刀を外に出すと、また地を蹴って後方に跳ぶ。一瞬前まで私が立っていた場所を魔獣の左手が抉って、土砂が飛び散る。
すかさず、私を追って魔獣の右手が繰り出され、それも跳び退って回避する。
倒れた仲間たちをお邸に転移させたいが────魔獣の猛攻を凌ぐので、精一杯だ。このままでは、いずれ私も立ち行かなくなる。どうにかしなければ────
生半可な魔術ではあの魔獣を傷つけることもできない。かといって、一人で魔獣の相手をしながら、大規模な魔術を発動させる余裕はない。
すでに共有魔力を使っている上、その魔力も残り少なくなってきている今────【
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
の正装】も使えない。
ノルンを通じて精霊樹の魔素を借りたとしても、地下遺跡の【
最適化
(
オプティマイズ
)
】で消費した分が回復していないため、おそらく【|聖騎士《グローリアス
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