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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#13
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足に力を入れ何とか耐えていると、左側にいるヴァルトさんが両手剣で魔獣の右足を、右側にいるラムルが大剣で魔獣の左足を後ろから払った。

 両足を掬われた魔獣は後ろに倒れ込む。その重量に地面が大きく揺れ、砂煙が舞う。

 私は魔獣の首を落とすべく、奔り出す。

 魔獣はすぐに起き上がろうとするが、ヴァルトさんとラムルに加えてレナスがそれぞれの得物を魔物の胴体に叩き込み、魔獣の上半身を再び地面に沈めた。

 しかし、首を狙って回り込んできた私に気づくと、魔獣は怒号を上げながら、強引に身を起こした。

 剣を押し上げられた拍子にたたらを踏んだ三人を、魔獣は両腕を振るって薙ぎ払った。

「ッ!!」

 仲間たちの安否を確認したいところだけど、私の眼の前には完全に立ち上がった黒い魔獣がいて────そんな余裕はない。

 私は、左手に握る【聖剣ver.9】の柄に右手を添えて構えたまま────魔獣に【聖剣】を当てるにはどうすればよいか、思考を回らす。

 先に動いたのは────黒い魔獣だ。

 一歩踏み出し、まず右手を私に向かって振り下ろした。それは何の変哲もない攻撃で、違和感を抱きながらも、私は【聖剣】を振り抜く。当然のごとく、【聖剣】は魔獣の右手首をあっさりと斬り飛ばす。

 そこで退くかと思いきや、魔獣は続けて左手を振り下ろす。私は反射的に太刀を返し、左手首も斬り落とした。

 その次の瞬間だった。魔獣が両腕を交互に振るった。私に叩きつけるためではない。未だ血が噴き出ている魔獣の両手の断面が私の視界を二度横切って────切り口から零れ出た、大量のその赤黒い血が私に降り注ぐ。

「…っ【(プロテ)(クション)】!!」

 間一髪、魔力の盾を構築でき───私は、禍々しい大粒の赤黒い雨を受け止めた。血の雫が地面へと落ちていく。

「っ?!」

 赤黒い血は地面に染み入ることなく、私の足元に転がる。これは────血が固まっている?

 黒い魔獣が同じく両腕を振るい、左方向───大剣を構えて今にも駆け出そうとしていたラムルに向かって、赤黒い血を浴びせた。私は、はっとしてラムルに叫んだ。

「ラムル、逃げて…っ!!」

 ラムルは【回帰】を発動させたままだ。大剣ですべて弾くことも、【(プロテ)(クション)】を発動させることもできない。いや、そもそも【(プロテ)(クション)】で防げるかどうか────

 私の忠告に従って、ラムルはその場を離れようとしたが間に合わない。大剣を振るうも、広範囲にわたって降る大量の赤黒い礫を弾き返すことは不可能だ。大剣を掻い潜った赤黒い礫が、ラムルの全身を打ちのめす。

 顔や首など無防備な素肌が抉られ、ラムルの血が音もなく飛び散った。赤黒い魔獣の
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