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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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≪この魔獣には、剣も魔術も効かない。リゼの【聖剣】で倒す。ジグはリゼを護れ。ヴァルトは戻らず俺たちと共にリゼの援護を───セレナはディンドたちの援護を頼む≫

 レド様の指示に従うべく────私たちは、一斉に黒い魔獣に向かって地を蹴った。

 距離が近かったヴァルトさん、レド様、レナスが先に魔獣へと辿り着く。魔獣はレド様たちを一遍に薙ぎ払おうと、両手で歪な大剣を握り直して、横一線に振るう。

 まずは一番間近にいるヴァルトさんが魔獣の大剣を迎え撃った。魔獣の膂力に圧されてヴァルトさんが後ろに押し出されたところに、レド様が大剣を───レナスが太刀を叩きつけ、魔獣の大剣が留まる。

 魔獣の両腕に太い血管のようなものが浮き出たかと思うと、レド様たちが魔獣の大剣に圧され始めた。そこへ遅れて辿り着いた───【回帰】を発動したままのラムルが大剣を叩きつけ、また魔獣の大剣が留まった。

 私はその攻防を横目に、【認識妨害(ジャミング)】を発動させて、右方向───魔獣にとっては左側から回り込む。

 魔獣が間合いに入ったところで、一旦しまっておいた【聖剣ver.9】を左手に呼び寄せ、右手を柄にかける。そして、【聖剣】を振り抜こうとした瞬間────魔獣が大剣を引き上げて後方へと跳んだ。

 レド様たちが───勿論、私も───魔獣の後を追う。

 対多数では分が悪いというのもあるだろうけど、今のは明らかに【聖剣】を抜こうとした私に気づいて、魔獣は跳び退いた。

 【認識妨害(ジャミング)】で存在をくらませても、触れることなく【聖剣】を察知できる鋭敏な魔獣には悟られてしまうだろうと思いつつ、念のため試してみたが────やはり駄目か。


 私たちからある程度離れた魔獣は、魔素と魔物の魂魄を引き寄せ始めた。あの衝撃波を放つつもりに違いない。その前に何とか魔獣に辿り着きたかったが、魔獣が衝撃波を放つ方が速かった。

 またもや吹き飛ばされた私たちは、後退を余儀なくされる。

 前回より発動までの時間が短かったせいか、威力はそれほどでもなく、私たちはさして体勢を崩すことなく次々に着地する。

 すぐに魔獣に向かおうとして、思い(とど)まる。魔獣の周囲を豪風が取り巻いている。衝撃波と同じ───魔素と魔物の魂魄から成る豪風だ。あれでは近寄れない。

 固定魔法に似ているが、起点のようなものは見当たらないところを見ると、あの黒い魔獣が動かしているだけなのだろう。

 私が創った【霊剣】や【魔剣】は魔法も斬ることができるが────おそらく斬ったとしても、あの豪風を止めることはできなさそうだ。

 この豪風で私たちを遠ざけることはできるけど、これでは魔獣も私たちを攻撃することはできない。絶対に何か手を打ってくるはずだ
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