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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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ても、そのまま魔術を発動させては、リゼラや他の仲間たちをも巻き込んでしまうだろう。

 では、魔獣だけに撃ち込むには、どうすれば─────

「?!」

 突然、足元が波打ち、ルガレドは思考を中断する。

 視線を魔術式へと落とせば、周囲を吹き荒ぶ精霊や魔物の魂魄が、何故か先程よりも勢いを増して魔術式に飛び込んでいる。もしかしたら、ルガレドの感情に呼応しているのかもしれない。

 【誘導】で治まったはずの暴走が再び始まってしまった。

(くそっ、今はこんなことをしている時間はないというのに────!)

 怒りにも似た強い思いが込み上げ────ほとんど無意識に、ルガレドは魔術式に両手を突いて一息に大量の魔力を注ぎ込む。

 魔術式に堆積する魔力と魔素に、自分の魔力を溶け込ませるようにして一体化させて────知覚すると同時に制御下に置き、先程は【測地】と【誘導】で行ったことを一挙にやり遂げる。

 ルガレドの意思に従って魔素が均されるにつれ、徐々に暴走が治まっていくのを感じる。ある程度まで治まったところで、不意にその速度が速まった。

───(マスター)ルガレド、サポートします!───

「ノルン!」

───スタンピード前方の魔物は殲滅しました!(マスター)ルガレドのサポートに専念できます!───

 ノルンが、ルガレドの疑問に先回りして答える。

「助かる!俺は」

───把握しています!(マスター)ルガレドは魔術の発動に専念していてください!───

「ノルン!魔術の形態を変えたい!広範囲ではなく、魔獣だけに撃ち込みたいんだ!」

───了解!それでは、魔術式の暴走を治めつつ、雷を発生させるものと放出するのに必要な魔術式だけを残して、それ以外の魔術式を切り離します!(マスター)ルガレドは魔術の形態と規模を定めてください!───

「頼んだ!」

 それだけ返すと同時に、ルガレドは魔術の形態を考え始める。

 他の魔術を参考にしようかと思ったが、ルガレドはリゼラほど魔術を熟知していないから、すぐにはイメージが固まらない。剣や槍といった武具をイメージする方がいいだろう。

 ふと、何射めかの白い矢を放つジグが眼の端に映る。

(弓矢か…。いいかもしれない)

 弓矢ならば、遠くまで飛ばして撃ち込むというイメージが容易にできる。

 ルガレドは、そのイメージを強化するために、弓を取り寄せた。番えると右手に矢が現れる。

 ルガレドの正面に幾筋もの稲光が走って、それが球を成し、周囲を行き交う稲光を吸収して徐々に棒状となって────やがては矢の(てい)を成した。

 形成が終わったにも関わらず、雷の矢は周囲の稲光を吸収し続けて────ついには
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