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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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魔術式を構成するすべての魔術式が作動してしまっている。
通常なら、ここで術者が魔術の規模を調整すれば、魔術が完成する。
だが、今回は発動させるつもりはない。もう、これ以上精霊や魔物の魂魄を取り込ませるのは無理だ。魔術を解除した方がいい。
ルガレドがそこまで考えたとき────
「ッ!」
傍らのジグが息を呑んだことに気づき、ルガレドはジグを見上げた。ジグの横顔からは焦燥が感じ取れ、ルガレドは立ち上がって────ジグの目線を辿る。
そこには、たった一人で黒い魔獣と対峙するリゼラの姿があった。
リゼラと共に向かった仲間たちの姿を探すと────少し離れたところに、ラムル、レナス、ヴァルトが地に伏している。
リゼラは、魔獣の眼を逸らすつもりなのか、倒れ伏す仲間たちとは逆の方向に奔る。
魔獣はたった2歩踏み出しただけで、リゼラとの距離を詰める。そして────右腕を振り被った。
魔獣の右手は黒い何かに覆われていて、まるで巨大なメイスを腕の先に括りつけているみたいに見えた。それをリゼラへと振り下ろす。リゼラは【聖剣】である太刀で迎え撃つ。
リゼラの【聖剣】は、その右手を覆う黒い何かを斬り落すには至らず、ただ表層を削ることしかできなかった。
そこへ、右手と同じく黒い何かで覆われた───魔獣の左手が振り下ろされる。
「リゼ…!!」
ルガレドは思わず叫んだ。
リゼラは後方へと跳んで回避するが、すぐに魔獣はリゼラを追って、まずは右手を───続いて左手を振るう。
リゼラは、交互に───あるいは同時に振るわれる魔獣の黒い手を何とか凌いでいるが、あれではいずれ─────
「ジグ!魔術を発動させる!時間を稼げ!」
「御意!」
ジグはルガレドに応えながら、リゼラに創ってもらった対魔獣用武器【フェイルノート】を取り寄せて構える。
すぐさま純白の矢がジグの右手の中に現れた。ジグの魔力が弓矢に流れ込み、瞬く間に淡い光を纏う。それだけでなく────周囲を飛び交っている精霊や魔物の魂魄が引き寄せられ、【フェイルノート】へと取り込まれる。
大量の魔素を注ぎ込まれて、矢を彩る淡い黄金色の光が白銀色に染まったかと思うと、その輝きが一気に増す。
ジグが右手を放すと、光り輝く白い矢は、黒い魔獣目掛けて、白銀の光を靡かせ飛んでいく。
その結果を見届けることなく、ルガレドは魔術の調整に入る。
(このまま、ただ発動させるだけでは駄目だ)
【
疾風刃
(
ゲイル・ブレイド
)
】のような魔術なら、規模だけでなく、刃の形態なども設定できるが────こういった広範囲向けの大規模攻性魔術は、規模を多少調節することしかできない。
規模を抑えたとし
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