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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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いですか。リゼラ様に【共有】させてもらっている【測地】という技能────あれなら、精霊や亜精霊が持つ魔素を感じ取れるはずですよ」
「ああ…、あれか!」

 あの【技能】なら、験したことがある。ルガレドでも、地中の魔素や植物に宿る魔素をはっきりと認識することができた。

「この吹き荒れている精霊や亜精霊は諦めて、魔術式に取り込まれたものだけを認識して対処しましょう。ご自分の魔力として制御するのが無理なら、先程リゼラ様が見せてくださった魔法────【誘導】でしたか。あれを験してみましょう。リゼラ様が会得されたのなら、ルガレド様も行使できるはずですよね?」
「ああ、そのはずだ」

 ルガレドは、左手の薬指で光るリゼラが創ってくれた指環に眼を遣る。

(本当に────リゼには助けられてばかりだ)

 孤独だったルガレドの人生に突然現れた────相棒とも伴侶とも半身ともいうべき、かけがえのない存在だ。

 そのリゼラがしていたように────ルガレドは片膝をついて魔術式に左手を突く。【測地】を発動させると、【つがいの指環】が光を放った。魔術式に蓄積された魔力や魔素が、まるで立体的に浮かび上がるがごとく、はっきりと感じ取れる。

 三人分の魔力と、取り込まれた精霊や魔物の魂魄に含まれる魔素だ。

 それに加えて、ジグと会話しているうちに取り込まれたものに、今現在取り込まれているものが次々に積み重なっていく。

 はっきり認識してみれば、ルガレドの最大魔力量に届きそうなくらいある。

(これは、自分で制御するのは無理だな…)

 時間が惜しいルガレドは、早々に【誘導】という魔法を使うというジグの案に切り替える。

(リゼは、あの魔獣が先程見せた魔法だと言っていたな)

 【誘導】という名称からすると、おそらく、最初に戦った魔獣の死体を取り込む際に使っていたものだろう。

 通常は魔術名や能力名を特に声に出したりしないが、初めて行使する魔法なので、確実に発動させるために声に出すことにする。

「【誘導】」

 先程同様、指環が煌き────魔力が掌へと流れるのを感じる。

 何となく、リゼラと“クッキー”を作ったときのことが思い浮かんだ。めん棒で生地を(なら)すように、偏った魔素を比較的少ない箇所へと押し遣るイメージをする。

 淡い光が掌から魔術式に伝い、波のごとく広がると共に、余剰となっていた魔素も流されていった。

 不意に───何かが勢いよく弾ける音を響かせながら、ルガレドの眼前に幾筋もの小さな閃光が走った。それは徐々に膨張して、やがて稲光となって、左に右にとルガレドの視界を横切る。

(そろそろ限界だな)

 魔術式の隅々まで十分すぎるほど魔力───魔素が行き渡り、すでに、この
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