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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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る。魔獣を取り巻いていた風が消え失せていた。

 今なら────魔獣に近づける。

「リゼ───後は俺とジグでやる。リゼは魔獣の許へ向かってくれ」

 リゼラも魔獣を取り巻く風が消えたことに気づいたのだろう。その澄んだ蒼い双眸に強い光を湛えて頷く。

「解りました。レド様───後を頼みます」

 リゼラは、続けて、ジグの方に振り向いて声をかけた。

「ジグ、後を───レド様をお願い」
「お任せください」

 リゼラの声音にはジグに対する信頼が籠っていて────表情には出していないが、ジグが内心喜んでいるのがルガレドには解った。

「それでは、私は行きます」

 リゼラはそう言い置いて、魔術式から踏み出した。そして────待機していた他の仲間たちの許へ駆け寄ると、迎え入れた仲間たちと共に奔り出す。

 ルガレドは、リゼラと共に行きたい衝動を堪えて、その背中を見送った。

「ほら───置いて行かれた犬のような顔をしてないで、とっとこれを何とかしましょう、ルガレド様」
「誰が“置いて行かれた犬”だ。…リゼにお願いされて浮かれていたくせに」
「リゼラ様にお願いされて、喜ぶのは当然でしょう」

 しれっと返すジグに、ルガレドは諦めたように一つ溜息を()く。どうせ、ジグには何を言っても無駄だ。

「とっととこれを何とかして、俺たちも加勢するぞ」
「そうですね」

「それで?この───吹き荒れる精霊たちを制御するにはどうしたらいい?」

 ルガレドは、単刀直入にジグに訊ねる。

 自分で打開策を見出せないことに情けなさを感じるものの、今はどうにかすることの方が先決だ。

「自我のない精霊や亜精霊が、ルガレド様やあの魔獣が魔力を使って何かしようとすると従ってしまうのは───簡単に言えば、ルガレド様や魔獣が魔力に課した命令を勝手に感じ取って、それを実行しようとするせいです」
「だから、勝手に魔術式に飛び込むのか」

 ジグが何故それを知っているのか────疑問が湧いたが、隅に追いやる。

「ルガレド様は、【神眼】で視えるから精霊や亜精霊の存在を何となく感じているだけで───はっきりと認識していないのではありませんか?」
「確かに────そうかもしれない」

 何か眼で見えざるものを探る場合、ルガレドは【神眼】を使う。【神眼】で視認して、そこに存在するのをぼんやり感じたら───それ以上は突き詰めて確認しない。

「だから、精霊や亜精霊の存在をしっかりと認識して、ご自分の魔力の一部として扱えばいいんです」
「どうやればいい?」

 ルガレドは利用できそうな能力や魔術を自分でも考えつつ、ジグに重ねて訊く。

「ほら、ルガレド様が使える力の中に利用できそうなものがあるじゃな
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