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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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魔力が残り少なくなってきている今、標的を絞ってもらえた方が助かる。

 だけど────レド様が攻性魔術を行使するのにも、ノルンのサポートは不可欠だ。私もレド様のサポートはできるけど、私には【聖剣】で魔獣を討つという役目がある。


「ルガレド様、俺がやります」


 不意に聞こえた宣言に、どうするべきか考えを回らせていた私は顔を上げた。宣言したのは────ジグだ。

「俺が────ルガレド様を補助します」

 ジグは、今までとは───地下遺跡で前世の記憶が甦る以前とは異なる口調で、改めて宣言する。

 レド様は、眼を見開いて驚いている。今までのジグには、そんなことができるような片鱗もなかったのだから当たり前だ。

「お前が?」
「ノルンと同じことはできませんが────魔術を暴走させないよう、ルガレド様が精霊や亜精霊を制御する手助けなら、俺でもできます」
「そんなこと────できるのか?」

 レド様の問いに、ジグの口角が上がって、笑みを形作る。レド様やラムルが浮かべるそれによく似た────不敵な笑みだ。

「できます」

 そう答えたジグの声音には、揺るぎがなかった。レド様の表情から驚愕の色が消えて、毅然としたものに戻る。

「解った。俺のサポートはジグに任せる」
「御意」

「レド様、ラムルとセレナさんへの魔力供給は私が担います」
「頼む」
「ノルン、お願い」

───はい、(マスター)リゼラ───

 本当はすべての魔力供給を引き受けたいところだけど、あの黒い魔獣を討つためには魔力が必要だ。

 レド様は、状況を見守っていたラムル、レナス、ヴァルトさんに振り向いた。

「聴いた通りだ。俺とジグがあの風を取り払う。引き続き、リゼを援護して魔獣を」

 レド様がそこまで言いかけたとき────不意に、私たちの眼前の空中一面に幾つもの蜘蛛の巣のような亀裂が走った。

 亀裂が放射状に広がるにつれ、それに引っ張られたかのように中心が口を開き────淡い光を帯びた魔力の礫のようなものが一斉に飛び出す。

「ッ!!」

 これは、仲間たちが施す【(プロテク)(ション)】では防げないと直感する。【防御壁(バリケード)】は間に合いそうもない。【(プロテク)(ション)】で防ぐには範囲が広すぎるけど、それでもやるしかない。

「【(プロテク)(ション)】ッ!!」

 できるだけ大きく───そして、傾いた(ひさし)のごとく、頭上に向かって魔力の盾を築き上げる。

「皆っ、私の後ろに…っ」

 私が言い切れないうちに、魔獣によって放たれた礫が落下し始めた。仲間たちは、それでも私が言いたかったことを理解してくれたらしく、私の後方へと次々に飛
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