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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#12
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 魔獣が行動を起こす前に、この豪風をどうにかしないと────

「?!」

 すぐ傍らで不自然な魔素の流れを感じて振り向くと、レド様が魔術を発動させていた。これは────【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】?

 【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】は、魔獣に引き寄せられて吹き込む魔素を取り込んで、規模を増していく。

 いや、魔素ではなく“精霊”?
 それに、それだけじゃない────魔物の魂魄まで取り込んでいる。


 “精霊王”と称されたアルデルファルムを従えるレド様は、周囲を漂う精霊を無意識下に従わせてしまう。

 魔物の魂魄がレド様に従って取り込まれるということは────魔物の魂魄は、“精霊”もしくはそれに近い存在だということ…?


 ある程度大きくなったところで、レド様は魔術を解除した。レド様の前で渦巻いていた魔力の風が霧散する。

「やはり、か」

 レド様はそう呟いた後、決意を湛えた眼差しを私に向けた。

「リゼ───あの風は俺に任せてくれ」
「…攻性魔術を発動させるおつもりですか?」

 確かに、今の結果から見ても────レド様が攻性魔術を発動させれば、この周辺一帯に漂う精霊や亜精霊、それに魔物の魂魄は、魔獣ではなくレド様に引き寄せられるはずだ。

 そうなれば、魔獣を取り巻く豪風も消え、あの衝撃波も放てない。

「勿論、魔術を放出するつもりはない。先程のように寸前で解除するつもりだ」
「解りました」
「ノルン、サポートを頼む」

───ですが、(マスター)ルガレド、状況を鑑みるに魔術はかなりの大規模になると思われます。サポートするには、専念する必要があります。
そうすると、使い魔(アガシオン)ネロ、配下(アンダラー)ディンド、配下(アンダラー)セレナ、配下(アンダラー)アーシャ、配下(アンダラー)ハルドのサポートができません───

「ノルン───ネロとディンド卿、セレナさんのサポートというのは【索敵】に関してだよね。アーシャとハルドのサポートというのは?」

───配下(アンダラー)アーシャ、配下(アンダラー)ハルドは心身ともに疲労状態に達しています。私のサポートなくして、【身体強化(フィジカル・ブースト)】や【(プロテク)(ション)】を行使するのは困難です。
それと、配下(アンダラー)セレナは【索敵】で得た情報で標的を定めて的確に魔術を撃ち込んでいるため、それも不可能となります───

 スタンピード前方に群がる魔物の数は大分減ってはいるものの、殲滅できてはいない。まだアーシャとハルドの戦力は必要だ。

 それに、【索敵】の件も───セレナさんなら【索敵】の情報がなくても魔術を放つことはできるだろうけど、レド様も私も
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