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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#11
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 黒いオーガが、補修したばかりの【霊剣】を構えて、その濁った眼で私を睨みつける。

 私は【誓約の剣】を使うべきか一瞬だけ迷って────結局、対の小太刀を【夜天七星】の太刀へと替える。

 相手は変異種とはいえ巨大化していない2m程度の魔物で、得物も歪ではあるが両手剣だ。【聖剣】を警戒されて逃げ回られると厄介だし───場合によっては、折るよりも弾くかいなすだけの方が戦いやすい。

 私は太刀を左手に携え、柄に右手を添える。それでも【聖剣】を警戒してか、黒いオーガは動かない。

 ふと背中越しに人の気配を感じた。

 これは────レド様だ。

 僅かに首を捻って、瞳を最低限動かして確認すると、私と背中を合わせるようにレド様が後ろに佇んでいる。勿論、大剣を構えたままだ。

 その正面には、距離をとって、漆黒の棍棒を右手で構えた魔獣が対峙している。

 私は視線を戻して黒いオーガを見据えながら、レド様に伝えるべきことだけ報告する。

「変異種は2頭とも討伐しました。ジグにはラムルの援護に向かってもらっています。それから────【霊剣】を創ったのは魔獣ではなく、私の前にいるあの黒いオーガだと思われます。おそらく…、魔物に指示を出しているのも」
「そうか、解った」

 レド様が頷いたのが、気配で判った。

「先に魔獣を片付ける」
「解りました」

 私はレド様と連携できるように、念のため【把握(グラスプ)】を改めて発動させる。

「リゼ、どちらをやる?」

 いつか聞いたそのセリフにレド様の意図を悟って────私もあのときと同じように答えた。

「では、黒いオーガの方で」

 魔獣がこちらへと踏み出したらしく、足元が微かに揺れた。一瞬だけ間を置いて、レド様が告げる。

「それでは───行くぞ、リゼ」
「はい、レド様」

 私は、黒いオーガに向かって、【氷刃】を降らせるのではなく───胸元から真っ直ぐ放って、それを追うように奔り出す。

 背後でレド様が魔獣の棍棒を受け止めたのを、その音で知る。

 私が放った氷の刃は、ことごとく黒いオーガの正面に張られた【結界】に阻まれ、掻き消えた。私が振り抜いた太刀も阻まれ、黒いオーガまでは届くことはなかったが────【結界】を斬り裂くことはできた。

 刀を振り下ろした隙を狙って、黒いオーガが私に斬りかかる。それを避けるために私が後ろへと跳び退くと、黒いオーガも私を追って跳ぶ。私が着地する前に、追いついた黒いオーガが、漆黒の両手剣を振るう。

「!」

 さすがに速い。避けきれないと悟った私は、太刀で迎え撃つ。横薙ぎに振るわれた両手剣の衝撃を利用して、私は後方に大きく跳び上がる。

 思ったよりも衝撃が大きかったので、衝撃を和
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