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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#11
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つけられる直前でレナスが受け止めてくれたらしい。

「ありがとう、レナス」
「いえ、間に合ってよかったです」

 レナスは私のお礼にそう返しながら、私を地面へと降ろしてくれた。私は、すぐさま状況を把握すべく視線を回らす。

 レド様は魔獣に叩き潰されるのは回避できたようで、今もなお振り下ろされる魔獣の拳を大剣で凌いでいる。

 あれだけ打ち合ってもレド様の剣が無事なところを見ると、【聖剣】でしか傷つけられなくても、あの魔獣の打撃で剣が折られることはなさそうだ。

 とにかく、急いであの場に戻らなくては─────

 蹴りを受けたとき、その衝撃で【身体強化(フィジカル・ブースト)】と【魔力循環】は解除されてしまったけれど、【魔力結合】だけは機能していたので、酷く痛めたところはないみたいだ。腕も足も動くのに支障はない。

 それだけ確認してから、また魔力を廻らせる。

「変異種は?」
「2頭とも討伐しました。ディンド様がお戻りになったので、後を任せ戻った次第です」

 レナスが加わってくれるなら、助かる。

「あの黒い魔獣は、【聖剣】でしか傷をつけられない。だから、私が討つ。貴方は、レド様を援護しつつ、レド様と共に魔獣を押さえて」
「御意」

 私は【誓約の剣】を───レナスは【冥】を携え、同時に【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させて奔り出す。

 近づく私たちの存在に気づいた魔獣は、素早く後方に跳び退き、大きく距離を取る。

 レド様が魔獣を追おうと駆け出し、私たちも足を止めずにレド様に並んで魔獣を追う。

「?!」

 突如、背後から────いや、先程のレド様と私の武具に【最適化(オプティマイズ)】を施したときのように、周囲から魔獣に向かって強い風が吹き込む。

 これは、ただの風じゃない。魔素と────魔物の魂魄だ。周囲に漂う大量の魔素と魂魄が、すごい速さで魔獣に引き寄せられていく。

 何をするつもりなのかは分からないが、阻止した方がいい。レド様もレナスも同じ考えみたいで、私たちは魔獣に肉迫すべく奔り続ける。

 あと数歩で魔獣に刃が届く位置まで辿り着き、私とレナスが太刀の柄に右手をかけ、レド様が大剣を構えた、そのとき────黒い魔獣が、咆哮を上げた。

 それは雄叫びよりも高く鋭く、鼓膜を(つんざ)いた。

「「「ッ!!」」」

 間近で浴びせられた咆哮が脳を揺さぶり、身体が強張ったところに強い衝撃が襲う。魔獣の手足による打撃ではなく───何か衝撃波のようなものに身体を殴打された私は、再び吹き飛ばされた。

 先程よりも衝撃が強く、かなり後方まで吹き飛ばされたものの、今度は体勢を整える余裕があった。

 何とか着地できた私の傍らに、同じ
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