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転校した友達
第一章

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                転校した友達
 急にだった。
「転校するの」
「そう、仙台までね」
 札幌の中学でだ、宮前里佳子は友人の大野正喜代に話した。里佳子はきらきらした大きな目に分厚い唇に丸顔の黒いショートヘアの少女で中背で均整の取れたスタイルだ。正喜代は黒髪を伸ばしていて大きな切れ長の目で唇は薄く顎の形がよく背は里佳子と同じ位で胸が結構ある。二人は今自分達の二年生のクラスから少し離れた廊下の隅で話している。
「お父さんの仕事の関係で」
「そうなのね」
「元々お父さん先代の人だし」
「あっちに戻るの」
「そうなるからね」
 だからだというのだ。
「こっちには戻ってこないわ」
「そうなのね、けれどね」
 転校してとだ、正喜代は里佳子に言った。
「仙台に行っても連絡取ろう」
「私達友達だから」
「そう、友達だからね」
 それ故にというのだ。
「スマホでね」
「うん、ずっとね」
「お話しよう」
「それでまた会ったらね」
「一緒に遊ぼう」
 二人で指切りげんまんまでして約束した、そして里佳子が仙台に行ってからもだ。
 二人は連絡を取り合った、だが会うことはなくお互いに寂しく思いつつ中学を卒業し高校も卒業してだった。
 正喜代は北海道から京都の大学に進学することになったが。
「里佳子ちゃんもなの」
「そう、京都の大学にね」
 正喜代はスマホの向こうの里佳子に話した。
「合格してね」
「進学するの」
「だから通う大学は違っても」
 それでもというのだ。
「またね」
「同じ街にある大学に通うから」
「会うかもね」
「そうね、そうなったら宜しくね」
「お互いにね」
 二人でこうした話をした、そしてだった。
 この時は再会を約束しただけだった、だが二人がそれぞれの大学に入学し里佳子が自分が暮らすことになるアパートに行くとだった。
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