第八十三話 回廊ひのきしんその六十三
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「僕だってですよ」
「嫌いな人を好きになるの」
「そうなります」
「それはね」
新一君を見ているとです。
「新一君については信じられないわ」
「嫌いになるととことんだからですね」
「もう歯止めきかないから」
「それで好きになるとかはですね」
「ないと思っていたわ」
今の今までです。
「正直驚いてるわ」
「けれどそんな場合もあります」
「そうなのね」
他の人みたいにです。
「そうした場合もあるのね」
「僕でも」
「意外ね」
心の底からこう思いました。
「新一君にもそうしたことあるなんて」
「僕だって人間ということでしょうか」
「そうね」
言われてみるとです。
「そうなるわね」
「そうですね」
「人の気持ちは変わるから」
よくも悪くもです。
「だからね」
「それで、ですね」
「新一君も変わるのね」
「そうなんですよ」
「それならね」
私はここで思いました。
「新一君が先輩を好きになってくれる様にね」
「いさんでいかれますか」
「佐野先輩と高井先輩についてもね」
お二人のことも思い出しました。
「そうしていくわ」
「まあ僕人にプレゼントってゴミあげる人は絶対に好きにならないですがね」
「そこでそう言うし」
「この人もそうしましたし」
また長池先輩を睨みました。
「何があっても許さないですから」
「だから変わりなさいって言ってるの」
私としてはです。
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