第114話 上洛 後編
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、軍事を冥琳殿、内政を朱里殿にお任せくださいませんか?」
揚羽が麗羽と私の会話に割り込んできました。
「この場で即答はできないが、揚羽の考えが現状では正しいと思う。私はどうしても非情に徹しきれない。自分の愚かさを痛感しているが、どうしても非情になりきれない」
「正宗様はそれでいいのです。無理に自分を作る必要はないと思います。正宗様はお一人でないのです。あなたに付き従う者と力を合わせ、志を遂げればよろしいのです」
麗羽は私に優しく言いました。
「正宗様、私もそう思います」
「正宗様、私もあなたのお志のために尽力いたします」
揚羽と冥琳も麗羽と同様に優しく言いました。
「ありがとう」
私は3人を見つめ感謝の言葉を言いました。
私は私が出来ることをするしかないです。
「ですが、冥琳さんの件は未だ終わっていませんことよ」
麗羽は私の右腕に腕を絡ませて来ました。
彼女の腕の力は力が入っています。
「陛下への謁見は明日になさいまし。そうそう、冥琳さん。あなたもご一緒してくださいませんこと。嫌とは言いませんわよね」
麗羽は気迫のある笑顔で冥琳に言いました。
「私もでですか?」
冥琳は私に困ったような表情を向けました。
「麗羽、冥琳はいいんぢゃないかな。仕事もあるだろうし」
「正宗様、冥琳さんに随分お優しいですわね。一人洛陽に残り、毎晩冷たい寝所で一人寂しく寝起きしていた私のお願いをお聞き届けくださいませんの」
麗羽は私に皮肉混じりの言葉でお願いをしてきました。
そんな言い方をされたら、麗羽さん拒否できないでしょう。
麗羽は私が黙るのを確認すると、冥琳に視線を戻しました。
「麗羽様、私も是非に参加させていただけないでしょうか」
麗羽に責められる私を見て冥琳が言いました。
「よかったですわ。それではお二人とも行きましょうか」
私は冥琳と共に、麗羽の後を追い邸宅の中に入って行きました。
揚羽は私と冥琳に軽く手を振っていました。
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