第114話 上洛 後編
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ぶり」
麗羽と抱擁したまま華琳に返事しました。
「麗羽、華琳が見ているので、一先ず後でゆっくり話さないかい」
華琳の介入を理由して、一先ず先送りをしようと試みました。
「華琳さんは関係ありませんことよ。私が頼みもしないのに、華琳さんが着いてきたんですから。それに、私は何もやましいことをしていませんわ。正宗様は私と話をすることが嫌ですの?」
麗羽は私の言葉を一蹴しました。
「麗羽と話が出来て、凄く嬉しいよ。でも、じっくり話をするには時と場所を選ばないと」
「麗羽、あなたは正宗のことになると、周りが見えなくなるわね。あなたにもう少し甲斐性があれば、こんなことにならないでしょうに。色恋に関して、あなたに甲斐性を求めるのは酷というものね。私ならもっと上手くやるわね」
華琳は麗羽を見て嘆息すると、私の方を見ました。
「華琳さん、何ですの! 正宗様を侮辱するなんて、私が許しませんことよ」
麗羽は私から離れ、華琳に向き直ると厳しい視線を彼女に向きました。
「まあまあ、麗羽、落ち着いて」
「私は十分落ち着いていますわ」
「私は長旅を労おうと正宗に挨拶に来ただけ。用が済めば帰るわ。私の用の邪魔をしているのはあなたでしょ」
「その態度は何ですの! 不愉快ですわ」
私は二人の口喧嘩に入り込む隙を見つけることができませんでした。
「麗羽、さっきからいっているでしょ。あなた達の夫婦喧嘩の邪魔はする気は毛頭ないわ。麗羽、あなたは私にずっと側に居て欲しいのかしら」
華琳は麗羽の剣幕など、どこ吹く風と去なすと私の方を向きました。
「そんなことある訳がありませんわ」
「なら、いいわよね」
華琳は勝ち誇ったように麗羽を見ると、麗羽は不機嫌そうだったが押し黙った。
「正宗、健勝そうで何よりね。異民族の討伐に大忙しだったと聞いてるわ」
華琳は麗羽から私に視線を移すと喋り始めました。
烏桓族の件、降伏の代償に美女千人を要求した話を穿り返されるのでしょうか。
麗羽だけでも恐ろしいのに、華琳に油を注がれると凄く困ります。
ですが、先ほど「私を救ってくれた?」のであれば、麗羽に油を注ぐことはしないと思います。
華琳の様子からも私をからかうために訪ねてきたというより、真剣な話をしに訪ねたような気がします。
「討伐した異民族への対応を聞き及んでいるわ。随分と甘い仕置ね」
「ああ、甘いだろうな」
私自身、時間が経過する程に、自分の甘さを痛感しています。
あの時、私は罪の無い人間を殺すことに抵抗感がありました。
罪を犯した者を手にかけることは出来ても、無辜の者を手にかけることができませんでした。
無辜の民であれ、連座として処刑しないといけないことがあることを理解できても、自分の心が抵抗
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