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金木犀の許嫁
第四十五話 鯨肉その十

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「お金は普段は節約して」
「使うべき時に使うのね」
「自分自身だってね」
 それこそという言葉だった。
「何時どうなるかね」
「わからないわね」
「いきなり大怪我したり大きな病気になって」 
 それでというのだ。
「お金が必要になることもね」
「あるから」
「だからね」 
「お金は使うべき時に使う」
「普段は節約する、夜空ちゃんみたいにね」
「するのがいいのね」
「主婦の使い方がね」
 夜空をじっと見て話した。
「やっぱりね」
「いいのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「これがね」
「そういうものね」
「そう、そしてね」 
 さらに言うのだった。
「今の特価や半額優先も」
「いいことね」
「私も見習うわ」
「お姉ちゃんなのに」
「見習うのに年齢とか立場は関係ないのよ」 
 そうだとだ、真昼は言い切った。
「夜空ちゃんでもね」
「妹でもなの」
「いいところがあったら」
 それならというのだ。
「そこをね」
「見習うのね」
「そうするわ」
「そうなのね」
「兄より優れた弟はいないとか」
「この場合は姉より優れた妹ね」
「そんな言葉間違いだから」 
 夜空は言い切った。
「年齢が上でも駄目な人は駄目で」
「いいところはいいのね」
「そうよ」
 まさにというのだ、真昼は明るいがそれでいて真面目な声で他ならない妹の真昼に対して語るのであった。
「だからね」
「私にいいところがあったら」
「それならね」 
 その時はというのだ。
「学ぶのよ」
「そうするのね」
「そう、そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「よくなるのよ」
「見習って」
「若しね」
「若し?」
「本当にそんなこと言って」
「兄より優れた弟はいないとか」
「それでふんぞり返っていたら」
 それならというのだ。
「兎と亀みたいにね」
「追い越されるのね」
「そうなるのよ」
 実際にというのだ。
「弟さんにもね」
「妹さんにも」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「駄目よ、人は年齢で決まらなくて」
「何で決まるか」
「努力で決まるから」
 そうしたものだからだというのだ。
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