第四十五話 鯨肉その九
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「皆暮らせなくなって」
「とんでもない状況になったわね」
「ジンバブエだってそうでしょ」
今はというのだ。
「とんでもないインフレでね」
「生活出来なくなってるわね」
「物々交換とかね」
「終戦直後の日本でもあったのよね」
「闇市とか田舎でね」
「そうだったわね」
「まあ終戦直後の日本はそれでもね」
惨状であったことは事実だがというのだ。
「お金は機能していたけれどね」
「まだ価値があったのね」
「それでお金が価値がある間はね」
「ましね」
「そうよ、本当にまずいのはね」
それはというと。
「お金の価値がない」
「そうした状況よね」
「今お話した大戦前のドイツとかジンバブエとか」
「暮らせないわね」
「だから結局ね」
「お金がある方がいいわね」
「夜空ちゃんの言う通りにね」
まさにというのだ。
「その方がいいのよ」
「そういうことよね」
「人間社会で暮らしたいなら」
「お金は必要で」
「お金の価値がわかっていると」
それならというのだ。
「強いわよ」
「それだけで」
「本当にね」
こう言うのだった。
「夜空ちゃんもね」
「そうなのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「お金は使う時に使わないとね」
「普段節約して」
「親しい人に冠婚葬祭とかね」
そうしたというのだ。
「大切な時があったら」
「出すべきよね」
「最悪なのは自分の為だけに浪費して」
「人のそうしたことに使わない」
「しかも浪費でおまけに働かなくて借金までする」
「それ本当に最悪ね」
夜空も聞いて呆れた。
「文字通りに」
「けれどこうした人もいるから」
「そうなのね」
「所謂ヒモでね」
「働かないで」
「そうであってね」
それでというのだ。
「自分にはいい服買っていい煙草吸ってね」
「人には使わないのね」
「それでよ」
「借金までするのね」
「こうした人はね」
「最悪ね」
「そうよ、まあこうした人は論外ね」
真昼はこの言葉でそうした輩を切り捨てた。
「所詮は」
「人としてね」
「反面教師としてね」
「やっていって」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
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