第一章
[2]次話
急に倒れた理由
営業部長の山田勝家は毎日朝早くから夜遅くまで働いている、休日返上で兎に角働き続けている。五十歳だが若々しく顔には皺一つない。霧っとした眉の太い顔立ちで黒髪も光沢がある。毎日よく歩いているので長身は引き締まっている。
部下には定時に出勤させ定時で帰らせ休日は休ませている。それでこう言うのだった。
「俺は管理職だからな」
「だからですか」
「いつも働かれますか」
「そうなんですか」
「それに健康そのものだからな」
身体の話もした、それも笑顔で。
「バリバリ働けるんだ、皆無理しないで休め」
「そうしていいんですか」
「それならです」
「部長が言われるなら」
「俺は好きでやってるしな」
こうまで言ってだった。
山田は働き続けた、だがある日だった。
山田は欠勤した、このことに部下達は驚いた。
「あれっ、部長が欠勤?」
「家族の人達から連絡があったらしいけれど」
「あの部長が欠勤?」
「あんな元気な人が」
こう言って驚いた、それでどうして欠勤したかを確認すると。
「過労か」
「朝出勤しようとしたら倒れてか」
「そのまま入院なのね」
「それはまた」
「全く、こうなるんじゃないかって思ってたよ」
専務の佐古下富士夫が言った、黒い短い髪で穏やかな面長の顔の中肉中背の五十代の男だ。
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