最強の目
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処刑人、ポセイドンは激昂した。
「言ってくれるなよ……人間!」
聖杯戦争の処刑人は、そう叫び、参加者でもない人間へ刃を向けた。
「危ない!」
可奈美、龍騎、友奈はそれぞれ市長を助けようと身を乗り出す。
だが、その目の前をパピヨンの蝶が横切った。
「まあ止せ。無用な心配だ」
パピヨンはその場で座り込み、完全にくつろいでいる。
「でも!」
「何。あんな処刑人、兄貴にかかればすぐに終わるさ」
「でも、参加者でもない……うわっ!」
可奈美の言葉はそれ以上続かなかった。
ほんの頭上紙一重に舞う、赤い長槍。回転しながら、それは市長へ襲い掛かる。
だが、市長はいつのまに手にしたのか、長い剣を手にしている。銃刀法などあっさりと切り捨てたような武器で、彼は未来の長槍を弾き飛ばした。
「ほう……」
長槍を手に戻したポセイドンは、感心したように息を吐く。
「ならば、これはどうかな? ふんっ!」
ポセイドンは長槍を振るう。海の力を込めた青いエネルギーが、弧を描きながら市長へ向かうが、市長は眉一つ動かすことなく剣で両断。
そのまま、一歩ずつ市長はポセイドンとの距離を詰めていく。
ポセイドンは長槍に寄りかかるように市長を睨み、そのまま斬撃を放つ。
だが、市長は全く動じない。ポセイドンの動きを全て紙一重で上回り、長槍を剣で受け止める。
「何!?」
その動きを判別できたのは、おそらく可奈美だけだろう。
市長の剣。それは、ポセイドンの長槍を弾き、そのままその本体に無数の斬撃を与えていく。
大きく怯んだポセイドンは、そのまま蹴りを放った。赤い脚部が、オオカミウオの如く市長を食らおうとする。
だが市長は、オオカミウオの牙をアッサリと斬り払う。そのまま体勢を崩したポセイドンへ、刃を放った。
「すまない」
何度、ポセイドンを切ったか。
その問いに答えられるのは、おそらく可奈美だけしかあるまい。
ポセイドンへ背を向けた市長は、吐き捨てた。
「三手と言ったが、狙いが狂ってしまった。四手だったな」
「何? うっ……」
果たして、メダルの塊であるポセイドンに、戦いへの欲望以外の感情はあるのだろうか。
思い出したかのように、全身から火花を散らしていくポセイドン。やがて彼は、徐々に体を直立させることが難しくなっていく。
そして。
「そんな……この……俺様があああああああああっ!?」
そうして崩れ落ちたポセイドン。
その体は一瞬、銀のメダルの塊になったかと思うと、その身が爆発して消えていった。
爆風の中、彼を構成するメダル、その灰色のメダルが一枚、市長のもとへ転が
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