最強の目
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背後に回り込み、その背中を斬りつける。
だがそれはすでに、彼に先読みされている。死角からの斬撃にも関わらず、市長は背後に回したサーベルで千鳥を受け止めてみせた。
そして、振り向きざまに放たれたサーベルは、的確に可奈美の腕を切り刻む。
「っ!」
「どうしたのかね? それとも、刀使の力はこんなものなのかね?」
キングは吐き捨てながら、可奈美の腹を蹴り飛ばす。
写シを貫いて、可奈美へダメージを与えるただの蹴り。
「がはっ……!」
壁に大きくめり込んだ可奈美は、唾を吐く。
写シが消失し、生身の可奈美は大きく体を傾ける。
「……っ!」
即座に息を吸い込んだ可奈美は、すぐ目の前に迫ってくる刃先に、全身に力を込める。
体が白いオーラに包まれると同時に、サーベルの刃が可奈美の心臓部を貫いた。
「がはっ!」
「ほう。流石は刀使。心臓を貫いた程度では死なぬか」
そのまま可奈美を串刺しにしながら、キングは呟く。
可奈美からサーベルを抜き取り、ふらつく可奈美の喉元へその剣先を突き付ける。
「いかがかね? 私の剣は」
「すごい……!」
生身にも関わらず、刀使の能力に付いて来ている。
思わず可奈美は、笑みを浮かべた。
「ほう……格上の敵を相手にして、なおも笑みを浮かべるか」
「うん……ワクワクしてきた……けど、怖いって思うのは、久しぶりかも……!」
「……」
「がっ!?」
写シを纏った左手が宙を舞う。
痛みと共に怯みながら、可奈美の写シが解除される。生身になるとともに、斬り落とされた左手が復活し、両手で千鳥を握り直した。
「はあっ……はあっ……!」
「ふむ。霊体を一度解除し、再発動すれば、体は復活するのか。だが、どうやら体や精神への負担は残るようだな」
可奈美は再び体に写シを張る。
だが、それはすぐにキングのサーベルによって切り刻まれていく。
「ぐっ……」
すでに彼は生身ながら友奈と龍騎を倒し、処刑人を葬っている。
手心を加えていれば、こちらが危険。
そして、間違いない。
市長は……あの、妖しい目を持つご老体は、通常の刀使である自分よりも強い。
そう確信した可奈美はサーベルを目覚めの鈴祓いで受け止め、叫ぶ。
「祭祀礼装・禊!」
虹色の光を切り裂き、祭祀礼装を纏ったばかりの可奈美へ市長が襲い掛かかる。
「……っ!」
だが、市長の振るう剣先を、虹色の可奈美の目が捉えた。
否。祭祀礼装までに自らの力を引き上げなければ、市長に太刀打ちできないのだ。
彼の連撃を避け、弾き返す。
「ほう」
感心したように鼻を鳴らした市長は、サーベルを可奈美へ向ける。
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