暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
最強の目
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
 背後に回り込み、その背中を斬りつける。
 だがそれはすでに、彼に先読みされている。死角からの斬撃にも関わらず、市長は背後に回したサーベルで千鳥を受け止めてみせた。
 そして、振り向きざまに放たれたサーベルは、的確に可奈美の腕を切り刻む。

「っ!」
「どうしたのかね? それとも、刀使の力はこんなものなのかね?」

 キングは吐き捨てながら、可奈美の腹を蹴り飛ばす。
 写シを貫いて、可奈美へダメージを与えるただの蹴り。

「がはっ……!」

 壁に大きくめり込んだ可奈美は、唾を吐く。
 写シが消失し、生身の可奈美は大きく体を傾ける。

「……っ!」

 即座に息を吸い込んだ可奈美は、すぐ目の前に迫ってくる刃先に、全身に力を込める。
 体が白いオーラに包まれると同時に、サーベルの刃が可奈美の心臓部を貫いた。

「がはっ!」
「ほう。流石は刀使。心臓を貫いた程度では死なぬか」

 そのまま可奈美を串刺しにしながら、キングは呟く。
 可奈美からサーベルを抜き取り、ふらつく可奈美の喉元へその剣先を突き付ける。

「いかがかね? 私の剣は」
「すごい……!」

 生身にも関わらず、刀使の能力に付いて来ている。
 思わず可奈美は、笑みを浮かべた。

「ほう……格上の敵を相手にして、なおも笑みを浮かべるか」
「うん……ワクワクしてきた……けど、怖いって思うのは、久しぶりかも……!」
「……」
「がっ!?」

 写シを纏った左手が宙を舞う。
 痛みと共に怯みながら、可奈美の写シが解除される。生身になるとともに、斬り落とされた左手が復活し、両手で千鳥を握り直した。

「はあっ……はあっ……!」
「ふむ。霊体を一度解除し、再発動すれば、体は復活するのか。だが、どうやら体や精神への負担は残るようだな」

 可奈美は再び体に写シを張る。
 だが、それはすぐにキングのサーベルによって切り刻まれていく。

「ぐっ……」

 すでに彼は生身ながら友奈と龍騎を倒し、処刑人(ポセイドン)を葬っている。
 手心を加えていれば、こちらが危険。
 そして、間違いない。
 市長は……あの、妖しい目を持つご老体は、通常の刀使である自分よりも強い。
 そう確信した可奈美はサーベルを目覚めの鈴祓いで受け止め、叫ぶ。

「祭祀礼装・禊!」

 虹色の光を切り裂き、祭祀礼装を纏ったばかりの可奈美へ市長が襲い掛かかる。

「……っ!」

 だが、市長の振るう剣先を、虹色の可奈美の目が捉えた。
 否。祭祀礼装までに自らの力を引き上げなければ、市長に太刀打ちできないのだ。
 彼の連撃を避け、弾き返す。

「ほう」

 感心したように鼻を鳴らした市長は、サーベルを可奈美へ向ける。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ