最強の目
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っていく。
「ふむ。これは……」
メダルを拾い上げた市長は、静かにその右目で見下ろしていた。
「どうやら彼もまた、ホムンクルスだったようだ。パピヨン」
市長はそう言いながら、メダルをパピヨンへ投げ渡す。それをキャッチしたパピヨンは、メダルを見下ろした。
「何のつもりだ、兄貴」
「持っておきたまえ。体系は違えど、我々と同じ錬金術だ」
「ふうん。嬉しいね」
パピヨンは一度、指でメダルを弾く。
灰色のメダルは陽の光を反射しながら宙を舞い、再び彼の腕に収まる。そのままタイツのどこかに収納した彼は、翼を広げた。
「どこに行くのかね? パピヨン」
「何。兄貴がいる以上、ここに俺がいては危険だろう?」
「……」
可奈美は市長とパピヨンを交互に見やる。
少しずつ上空に浮かび上がっていくパピヨン。蝶の力を発揮するパピヨンという非日常の相手にも関わらず、市長は平然と言葉を続ける。
「それで? 元々君はなぜここにいるのかね?」
「言ってくれるなよ兄貴。出来損ないの弟が、立派な男に成ろうとしているだけだ」
「君にそこまで出来るのかね?」
「兄貴って……?」
可奈美は思わず、その単語を呟いた。
兄。それはつまり、可奈美にも兄がいるように、パピヨンにとって市長は兄ということになる。
だが、果たして高校生か大学生くらいの年齢のパピヨンに、市長のような高齢の兄がいることなどありえるのだろうか。
すでにパピヨンは、見滝原公園の上空からいなくなっている。
彼が去って行った方向を見ながら、可奈美は口をポカンと開けていた。
そしてもう一つ。
「それに、ホムンクルスって……?」
コエムシは、間違いなくパピヨンのことをそう断じ、聖杯戦争への参加を拒絶した。
すでにコエムシは、ポセイドンの敗北と同時に姿を消している。
ホムンクルス。それが意味するところは、可奈美には分からないが。
「ふんっ!」
可奈美が思考を巡らせるよりも早く、市長がサーベルを振るう。
可奈美は慌てて千鳥を横にして、彼の剣を防いだ。
「ぐっ……!」
突然の刃に、可奈美は対応が遅れた。
だが、間近に迫る市長の気迫に、可奈美は息を呑む。
これまで無数の剣士と手合わせをしてきた。
刀使として、様々な剣術を打って打たれ、聖杯戦争の参加者として命を削り合ってきた。
だからこそ分かる。
「この人の剣は……っ!」
これまでの誰よりも。
殺意に満ちている。
「どうしたのかね? 刀使というのは、様々な能力を持つのだろう? 見せてみたまえ」
「!」
本気でやらなければ。
(こっちがやられる!)
それを理解した可奈美は、生身の人間相
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