紛い物
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の事実に、可奈美は「えっ」とパピヨンを見上げた。
「……お前こそ、ここで何をしている?」
「私が市長を務めるこの街にいて、何か違和感があるのかね?」
その光景に、可奈美の脳の処理が追いつかない。
パピヨンの存在は、ハルトとコウスケから何度も共有されている。聖杯戦争に参加しようとする、爆発物を操る者だと。それが、見滝原市長と親し気に会話している。
「市長さん、パピヨンを知っているの?」
だが市長は可奈美の問いに答えず、ようやくパピヨン以外の者___ポセイドンへ目を向けた。
「……」
「ほう……その目。俺に戦いを挑むのか。いいだろう。だが命乞いはするな? 時間の無駄だ」
ポセイドンはそう言いながら、その長槍を市長へ向けた。
だが市長は、未だに微動だにしない。
むすっとした顔つきのまま、じっとポセイドンを見つめ。
そして口にした。
「早く来たまえ。君ごとき、三手で始末してやろう」
すると、ポセイドンはその挑発を受けたのだろう。
これまで戦ってきた四人を無視し、ポセイドンは老体へ槍の刃先を向けた。
「いいだろう。後悔するなよ?」
ポセイドンはそう言って駆け出す。
「危ない!」
可奈美は叫ぶ。
だが。
「遅いな」
市長は何事もないかのように、ポセイドンの腕を掴んだ。
「私を殺すつもりなら、せめて倍は素早くなりたまえ」
老体から発せられるその声には、参加者でもなかなか見ない、殺意が漲っていた。
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