紛い物
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。すると、槍先が予想せぬ方向へ動き、龍騎の体を割く。
「真司さん!」
そう叫ぶのは、戻って来た友奈。すでに白と桃の勇者服に変身した彼女は、そのままポセイドンの前に殴り込む。
「ほう……いい力だ」
ポセイドンは感心し、ふたたび長槍を振るう。
だが友奈は、完全に長槍の動きを警戒していた。
簡易的な勇者パンチで、長槍を明後日の方向へ弾き飛ばす。
だが。
「無駄だ」
ディーペストハープーンは、あたかも生き物のように軌道を変える。回転しながら、可奈美、パピヨン、そして友奈、龍騎の順番でその体から火花を散らした。
「うわっ!」
そして可奈美は、パピヨンのすぐ背後に落下する。
ポセイドンはさらに、槍を大きく振るい、可奈美と龍騎を同時に切り飛ばした。
「うわっ!」
「ぐっ!」
可奈美の上半身の写シと龍騎の火花が同時に飛び散る。
さらに、ポセイドンの欲望が滾っていく。
彼の足の赤い部分___オオカミウオのような形状の足が、龍騎に噛みつく。
蹴られた部分を中心に、より一層龍騎の体から多くの火花が散る。
「ぐあっ!」
それは、龍騎だけではない。
可奈美、友奈と、近くにいる者たちを片端から薙ぎ倒していく。
「お、おお……」
やがて、それを眺めるパピヨンにも、ポセイドンの牙は向かれる。
「……はっ!」
起き上がろうとする可奈美は、パピヨンの前に行こうとするが。
「……ん?」
パピヨンの顔付きが変わる。
不敵な笑みから、恐怖へ。
「お前……何でお前がここにいる!?」
もはや、パピヨンは完全にポセイドンを見ていない。もちろん彼の目線は、可奈美や友奈、龍騎を捉えてもいない。
奥の方。見滝原公園の林を抜けて、この広場に訪れた別の人物を見ていた。
「市長さん……?」
その姿は、可奈美も何度か張り紙で見たことがある。
見滝原市長。可奈美にとっては遠い存在だが、ここ最近はハルトが出入りしている研究室でよく顔を合わせると聞く。
その彫の深い顔付と、立派に口に蓄えたひげ。そして、左目に付けられた眼帯は、行政に関心がなくとも印象に残る。
「何でここに……いや、今はそれよりも……!」
処刑人がいる。
その現実を察知し、可奈美と友奈は共に顔を合わせる。
「ほう……また敵か」
一方、ポセイドンは新たな人物に目を光らせる。
だが市長はポセイドンに目もくれない。可奈美、龍騎、友奈にも、あたかも存在しないかのように視界に入れている様子はない。
彼の目線の先はただ一つ。
「そこで何をしている? パピヨン」
パピヨンを知っている。
そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ