紛い物
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龍騎は鍔迫り合いになりながら答えた。
可奈美がにっこりと笑みを見せると、お礼にとさらなる剣技を披露する。
龍騎にはさすがに受け止めきれない勢いの剣に、だんだんと圧されていく。やがて可奈美は龍騎の胴体を切り裂いた。
「うおおっ!」
大きく怯んだ龍騎は、斬られた箇所を抑えながら距離を取る。
可奈美は千鳥を頭の位置で構えながら、促した。
「さあ、真司さん! 次の剣も見せて!」
「っかああああ……! どうしても剣じゃ返されるな……ん……?」
その時。
龍騎が、少し顔を向いたまま動きを止めた。
何かを思いついたのだろうか。可奈美がそう予測するよりも早く、龍騎が動き出した。
「だりゃああああ!」
龍騎はドラグセイバーで、突きを繰り出す。
可奈美は当然、的確な剣技でドラグセイバーを弾き返した。そのまま、体を大きくのけ反らせたところに反撃する手はず。
だがドラグセイバーは、大きく弾け、地面に突き刺さっている。それほど強い力で弾いてはいないのに、と可奈美が逡巡していると、すでに目の前には龍騎の鉄仮面があった。
「ええっ!?」
そのまま突撃してくる、その発想はなかった。
龍騎はそのまま、可奈美の腰に掴みかかり、進む。彼がようやく手を放したかと思えば、可奈美の腹に龍騎の鉄仮面が炸裂した。
「うえっ! ず、頭突き!?」
腹を抑えながら、可奈美は目を疑った。
「へへっ! どんなもんだい!」
龍騎は鼻をこする。
「すごいよ真司さん……! そんな剣術、予想外だよ!」
「っしゃあ! 一本取ったぜ!」
「でも……」
可奈美は、少ないダメージで立ち、千鳥を龍騎へ向ける。彼も千鳥の刃先に、思わず手を上げていた。
そして彼のドラグセイバーは、すでにその手を離れている。囮としての役割を果たし、今は地面に突き刺さった棒となり果てていた。
「あ……」
「勝負あり、だね!」
「……かああああああああっ!」
龍騎は叫びながら、地べたに大の字になって伏せた。
「やっぱり剣じゃ勝てないなあ」
龍騎はそう言い、その体が鏡のように割れていく。
龍騎から城戸真司への変身解除プロセスを見届けて、可奈美は大きく息を吐いた。
「ありがとう、真司さん。剣の鍛錬に付き合ってくれて」
「仕方ないだろ。ハルトとコウスケは大学でアレコレあるし。響ちゃんは剣の力が不安定で、友奈ちゃんはそもそも剣を持ってない。可奈美ちゃんの剣の相手ができるのって、俺だけだからさ」
真司は起き上がろうとするものの、すぐに「うーん」と倒れ込む。
それを、すぐそばで見守っていた友奈が助け起こした。
「ごめんね可奈美ちゃん、わ
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