第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその一
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外の世界の動きを無視し
連合中央政府と各国政府の激突が近いことは誰が見ても明らかだった、それでアランソはある貴族と会食しつつ述べた。
「連合ではまたです」
「はい、中央政府と各国政府がですね」
貴族もこう返した、見れば端正な初老の男だ。茶色の髪と青の目で皺があるがその顔がかえって威厳を醸し出している。
「愚かにも」
「衝突しようとしています」
「あの国は相変わらずですね」
「全くです、まとまることがなく」
アランソはムニエル、かなり大きな鱈のそれを食べつつ述べた。
「何かあればです」
「衝突しますね」
「十年に一度はですね」
「大規模に衝突していますね」
「各国政府の間でも常にです」
こちらの話もするのだった。
「衝突し」
「そして十年に一度は」
「中央政府と各国政府が大々的に対立し」
そうしてというのだ。
「揉めますね」
「同じ連合だというのに」
「あの衝突がなければ」
「はい、連合はです」
貴族も鱈のムニエルを食べている、かなり上等の銀の食器を使いそのうえで食べている。その味を楽しみつつ言うのだった。
「今より遥かにですね」
「発展しています」
アランソは言い切った、そして。
ここでだ、彼女はこうも言った。
「今のレベルよりも百年は」
「そうですね」
「しかしその発展を」
「連合はああして常に内部で揉め」
「衝突を繰り返し」
「発展が遅れています」
「あれで、です」
こう貴族に述べた。
「そうなっています、そしてあの対立は」
「我々にとってはですね」
「都合がいいです、敵が内輪揉めをして」
そうしてというのだ。
「そちらに力を消費するなら」
「こちらとしては」
「実にいいです、自滅しなくても」
「内輪揉めで力を浪費するなら」
それならばというのだ。
「実に好都合」
「左様ですね」
「ではこのままですね」
「今回も衝突してもらおう」
「そうしてもらいましょう」
二人で話してだ、そうして。
アランソは白ワイン、今はムニエルを食べているので魚介類に合うそれを飲んでいる。そうしつつ言うのだった。
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