指輪
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
改めて見て見ると、彼女の左手中指に付けられている指輪は、月の光を反射して淡い赤で煌めいていた。
彼女にあの指輪を渡して正解だったと感じながら、ハルトはコネクトの指輪を取りだす。
『コネクト プリーズ』
発動した魔法陣へ手を突っ込み、その出口を結梨の目の前に繋げる。
すると、ハルトの手が彼女の目の前に現れ、手を広げる。驚いた結梨は、そのままハルトの手を掴まえた。
「うわっ! ちょっと、結梨ちゃん!」
「すごいすごい!」
「コネクトが! コネクトが途切れる!」
コネクトの空間操作の魔法陣は、消滅しようと縮むが、間にハルトの腕があるため伸縮を繰り返している。
十年以上最も使ってきた魔法であるコネクトが、間に物を入れた状態で解除された場合どうなるかなど想像したくもない。
「すごいすごい!」
「うん、ありがとう! 確かに凄いから、離して! コネクト解かれちゃったら、俺どうなっちゃうか分かんないから!」
ハルトが訴えるが、その痛恨の訴えを遊んでくれていると考えているのだろう。結梨はハルトの手を掴み、きゃっきゃと上下に振っている。
「ゆ、結梨ちゃん! 本当にまずいって! 今コネクトの魔力が切れたらどうなるか分かんないから!」
「松菜さん、この魔法が繋がっている間に切れたことありますか?」
「無いから怖いんだよ! 俺の腕が千切れたりする可能性だってあるんだから!」
そういう間にも、コネクトの魔法陣は拡縮を繰り返している。果たしていつ消滅するのか分からない恐怖におびえていると、ようやく結梨はハルトの手を放した。
勢いよく手を引っ込め、魔法陣から抜くと同時に、コネクトの魔法は消失した。
「あ、危ない……いや、これは俺の手があったからコネクトが切れなかったのか、それとも俺の魔力がギリギリまで持ったからなのか……」
「あまり想像しない方が、精神衛生上いいと思いますけど……」
「おっしゃる通りで」
ハルトは想像を止めて、他の魔法を見せようと指輪を入れかえる。
決してコネクトを安易に結梨の前に見せないと誓いながら、エクステンドの指輪を取りだすと。
「えいっ!」
『エラー』
突然、ベルトから認識不能の音声が流れた。
見下ろしてみると、結梨が自身の指輪をハルトのベルトに押し当てていた。
『エラー エラー』
「エラー!」
『エラー』
何度もエラー音声を流しながら、結梨は笑顔でハルトのベルトに指輪を押し付け続ける。
無論、ハルトが渡したその指輪に魔法の力は宿っていない。せいぜいエラー音声を流すのが関の山なのだが、それが結梨には楽しいのだろう。何度も何度もハルトの指輪を鳴らしている。
やがてそれに飽きたのか、結梨はハルトのベルトから手を放す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ