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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第231話:並び立つ美女と野獣
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僧だ。久し振りに我が家に帰ってきたらこの対応か。もう少し労ってくれても罰は当たらなかっただろうに』
キマイラはやれやれと言いたげに被りを振った。ハンスはそんなキマイラの姿に思わず苦笑した。
「こう見えてちゃんと感謝はしてるっての。苦労を掛けたな」
今度はキマイラの方が鼻で笑った。ハンスがこんな殊勝な姿を見せるとは思っていなかったのだろう。少し面白いものを見たというようなキマイラの姿に、ハンスはキマイラの視線から逃れる様に一度目を瞑り明後日の方に顔を背けてから再び目を合わせた。
「それで? 無事俺の中に戻ってきた訳だが、お前どうする? このまま俺の命も何もかもを食い尽くすか?」
気付けば己の中に生まれていたファントム。ハンスはそれすらもキャロルを守る為に利用し、その為であれば己の命をも担保にしていた。ただ一つ、彼の中に存在するキャロルにだけは一切手を付けないという条件付きで。
キマイラは彼との約束を守り、キャロルには一切手出しせず彼女の事を守ってきた。レギオンファントムがキャロルに近付こうとした時にはそれを追い払い、洗脳されたミラアルクがキャロルの心を壊そうとすれば逆にミラアルクの中に乗り込んで彼女を洗脳している魔力を全て食い尽くした。ハンスが守る事が出来ない間、キマイラは見事に彼女の事を守り抜いたのである。
しかしその関係も終わった。キャロルは記憶を取り戻し、キマイラは再びハンスの中へと戻ってきた。約束が果たされた今、キマイラはハンスに義理立てする理由が無くなった。
それも込みでのハンスからの問い掛けであったが、キマイラから返ってきたのは彼にしてみれば意外な言葉であった。
『その必要はない。ワシはもう、お前の一部となった』
「は?」
どう言う意味か分からないハンスが首を傾げていると、キマイラの視線が彼の腰のビーストドライバーに向けられた。
『お前と彼女の世話を焼いていた錬金術師。彼の者がそれに細工をしたらしい。お陰でお前は命を削らずともワシの力を振るう事が出来るようになった。と言うより、細工されたその扉を介してワシがお前に宿った事で完全に馴染んでしまったらしい。今やワシとお前は一心同体だ』
言われてみれば、以前は感じていた自分の中で何かが削られる感覚が一切しない。ここで漸くハンスは自分がノーリスクでビーストに変身できるようになっている事に気付き、ここまで世話になってしまっていた事にバツの悪い顔になった。
「余計な事しやがって、ったく……」
『そうでもないぞ。お陰でお前は今後、彼女にワシの力を供給し支える事が出来るようになる』
錬金術も魔法も使う力は魔力。嘗てのキャロルは錬金術を使う際に想い出を焼却する事で魔力を捻出していたが、今後はハンスが謂わば外付けのバッテリ
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