第八十七部第四章 首相官邸にてその六十六
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「まさにな、ただしな」
「ただし?」
「といいますと」
「暗殺は謀略の中でも最も避けるべきものだ」
今度はこう言った。
「やはりな」
「死ねばそれまで」
「そして命を奪うことは罪」
「謀略といえどもですね」
「謀略は裏の手であり悪とされる」
それを得意とするアッチャラーンも自覚していた、自覚してそのうえで謀略を政治の手段として使っているのだ。
「だがその中でもな」
「暗殺になりますと」
「一線を越えていますね」
「謀略の中でも」
「左様ですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「あまりだ」
「暗殺は使うべきでない」
「一線を越えているものなので」
「謀略の中でも」
「命を奪うとな」
どうしてもというのだ。
「その後はもう何でもする」
「左様ですね」
「それはその通りですね」
「人は一線を越えるとです」
「後は何でもしますね」
「そうだ、そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「まさにだ」
「何でもしますね」
「人としての一線を越えますと」
「その時は」
「そうなってだ」
そしてというのだ。
「もうな」
「どんな悪事でもする」
「そうした人間になってしまいますね」
「そうなれば」
「それが一番怖い」
アッチャラーンは強い声で言った。
「どういった悪事もする様になればな」
「左様ですね」
「政治の世界は確かに色々あります」
「政争も常で」
「謀略もその中で使われます」
「まさに挨拶です」
「その様に使われます」
「だが連合では暗殺は殆どないのはな」
このことはというのだ。
「やはりだ」
「人の命を奪う」
「それは最も悪い」
「そうしたものだからですね」
「そのことがわかっているので」
「殆どないですね」
「しかも昨日の敵はだ」
今日は友になることもあるからだというのだ。
「なら次の機会に味方になる者を消すなぞだ」
「愚かなことですね」
「連合は敵味方が常に入れ替わります」
「そうした国なので」
「一々相手を殺してはですね」
「何にもならない」
それではというのだ。
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