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金木犀の許嫁
第四十四話 色々楽しんでその十

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「平家物語の序文は」
「そのままでしょ」
「仏教の考えですね」
「やっぱり信仰はね」
「出ますね」
「ええ、その人のね」
 書いた作者のというのだ。
「それでああ無情とかもね」
「信仰が出ますか」
「けれどそれもね」
 信仰もというのだ。
「わかりやすいしね」
「読むといいですね」
「小説はそのこともいいから」
「わかりやすいですか」
「いい作品はね、何でも大江健三郎は」
 この作家の作品はというと。
「難解っていうけれど」
「それはよくないですか」
「あの人あまりいい人じゃなかったみたいだし」
「そうなんですか」
「ええ、かなり思想的に偏りがあって」
 そうであってというのだ。
「そこから言っていて」
「いい人ではないですか」
「自衛隊嫌いだったしね」
「自衛隊をですか」
「あの世代の知識人には多かったけれど」
「自衛隊が嫌いで」
「なくすべきとかね」 
 その様にというのだ。
「言っていたし」
「いい人じゃないですか」
「そのこともあって」
 それでというのだ。
「私は全くね」
「あの人の作品は読んでいないですか」
「そうなの」
 そうしているというのだ。
「全くね」
「そうした人で」
「難しいっていうから」
「わかりやすいがいいですね」
「そう、読んでね」
 そうしてというのだ。
「わかりやすい」
「それが一番ですね」
「何を書いてるかわからないとか」
「そういうのはですね」
「よくないってね」 
 その様にというのだ。
「私思うし」
「それで、ですか」
「もう難しい単語を並べて」
 そのうえでというのだ。
「だらだらと書き連ねる」
「それは、ですね」
「よくないってね」
 その様にというのだ。
「思うし」
「それで、ですね」
「読んですぐわかる」
 まさにという口調で言った。
「それがベストよ」
「わかりやすいのがですね」
「そう、何か長々書いてね」
「それでわからないのは」
「もうね」
 それはというのだ。
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