第百一話 齟齬
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
行すると後に色々な弊害が生まれるのは明らかだったし、正規艦隊では無くとも友軍には違いないから見殺しにも出来ない。彼等に急が起きれば我々が救わねばならず、要するに邪魔な存在なのだ。たとえ十万隻いても戦力として期待出来ない上に正規艦隊の行動を制躊する、迷惑極まりない連中だった。現にヘルクスハイマー艦隊を俺の艦隊で牽制と監視しなくてはならない事態に陥っている。叛乱軍が手を出して来ないからいいようなものの、もし戦闘となれば綻びが出るのは明らかだった。
「叛乱軍の様子はどうか」
「あのままアムリッツァ外縁まで後退した様です。我々を刺激したくない、と考えたのかもしれませんな」
「そうか…叛乱軍には有志連合軍が我々の援軍に見えているのだろう」
チャンスなのだがな…。有志連合軍の全軍をボーデン、フォルゲンに進出させてしまえば、副司令長官以下の我々は遊軍として行動する事が出来る。有志連合軍の動きが鈍いのは、出張っては来たもののオーディンの状況が気になって仕方ないからだ。奴等の勇み足自体が、奴等自身の足枷になっている。
「参謀長、あくまでも試みに問うのだが…叛乱軍が出て来た時、有志連合軍は戦ってくれる…いや、戦うと思うか」
「どうでしょうか。戦わない事はないと思いますが、大混乱に陥るのではないでしょうか。有志連合軍が統制のとれた行動がとれるかどうか、甚だ疑問であります」
戦意過多、戦略過少…貴族艦隊の代名詞だ。ヴィンクラーの言う通り混乱間違いなしだろう。だがその方が叛乱軍を疲れさせる事が出来るのではないだろうか。たとえ混乱していても十万隻という兵力は叛乱軍も無視は出来ない。混乱から回復した後の反撃を考えれば、叛乱軍は混乱を長引かせる為に有志連合軍に対処し続けなければならない。そしてそれは我々…ミューゼル軍に対処する力を奪うのだ。貴族達は弾除けに使え…よく言ったものだ。副司令長官はどう考えているのだろう…。
7月11日12:00
ヴィーレンシュタイン宙域、ヴィーレンシュタイン星系、ヴィーレンシュタイン、銀河帝国軍ヴィーレンシュタイン基地、有志連合軍総旗艦ベルリン、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「それでは…我々軍には協力出来ないと仰られるのですか」
我々の造成した基地は、いつの間にか有志連合軍が専有する形になっていた。戦闘が発生していない為、弾薬等の補給は今のところ必要ないが、艦はそれでよくても人間はそうはいかない。糧食は毎日消費する、そのうち大規模な補給が必要となるだろう。基地造成当初に運ばれて来た糧食等の消費財は我々ではなく有志連合軍が食い潰す形になっている。今はまだいいが、そのうち下士官兵や下級士官達から不平不満が出て来るだろう、何故我々が遠慮せねばならないのかと…。
「そうは言っておらん。叛乱軍の撃攘は卿等帝国軍の任務であ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ