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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第百一話 齟齬
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う?“

「偵察等は構いませんが、それ以外は現状維持でお願いします。偵察もなるべく相手を刺激しない様に」

”藪をつついて蛇を出す様な事は避けたいですからな…了解致しました“

 通信が切れると、パトリチェフ少佐がニヤリとしてムライ中佐を見ていた。
「小官の方が正解だった様ですな」
「そうとは限らないぞ。練度の低い艦隊を誘導、牽制しているのかも知れん。命令系統の異なる部隊同士が行動を共にするなど、敵であっても百害あって一利なしだからな」
少佐の意見と中佐の意見、どちらともとれる状況だった。かといって刺激すれば何が起きるかは明白だ…頭が痛いよ全く…。


帝国暦487年7月10日02:40
ボーデン星系外縁(ヴィーレンシュタイン方向)、銀河帝国軍、ロイエンタール艦隊旗艦トリスタン、
オスカー・フォン・ロイエンタール

 解りきっていた事だが、貴族の艦隊というのは本当に厄介だ。同じ貴族艦隊でも過去に所属していたヒルデスハイム艦隊は、本当に優秀だったという事がよく分かる…辺境の、忠誠心の薄い領主達に懲罰を垂れる、だと?どこをどう押せばそういう考えが出てくるのか理解に苦しむ。そんな事をすれば辺境の領主達を叛乱軍に追いやってしまうだけだ。叛乱軍は辺境に物心両面の援助を与える事によって、辺境をかっさらおうとしている、そこに懲罰など与えたらどうなるか…まあ理解出来ないからこそ、懲罰などという愚行を思い付くのだろうが…。
「ヘルクスハイマー艦隊の動静はどうか」
「はっ。叛乱軍を発見した当初ほどではありません。今は落ちついている様です。近傍の有人惑星を有する星系に対する調査準備を開始しているとの事です」
「そうか。ヴィーレンシュタインの状況はどうなっている」
「ひどいものです。ミューゼル副司令長官の艦隊、そしてケスラー、メックリンガー両艦隊が有志連合軍と対峙しております」
「…戦闘でも始まりそうな言い方だな」
「閣下!」
「失言だったな。だがそういう状況だとすれば、我々は独力で叛乱軍と戦わねばならぬという事だ。有志連合軍が聞いて呆れるな」
ヴィーレンシュタインに残る三個艦隊…ミューゼル副司令長官、ケスラー、メックリンガーの各艦隊の立場は危ういものとなっている筈だった。彼等三個艦隊で有志連合軍の勇み足を押し留めている格好なのだ。
「三長官からの直接命令を事前に頂けたのが救いでしたな」
参謀長のいう通りだった。『命令の責任は三長官に帰するものである。貴職は最善と思われる行動に徹せよ』…捕虜交換の前にミュッケンベルガーから副司令長官に送られた命令だ。明らかに有志連合軍の存在を意識した内容だった。有志連合軍は帝国軍の正規の命令系統から外れた存在であるから、何をするか分からない存在だった。貴族艦隊など弾避けに使えばいいのだが、それを実
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