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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
紆余曲折あって、あたしは討伐隊に入る
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-Zの熱烈なファンでもいるとか?」

だめだ。
自分で見に行っといて言うのもアレだけど、これ以上このトンチキ集団を目に入れたくない。

小説でも書こう。
そう思った時だ。

「ちょっといいかね?」
「あ、先生。」

ノックの後ドアが開き、宮本のサーヴァントであるアヴィケブロンが顔を覗かせる。

ゴーレム達を指揮しているいわば現場監督だが、何かあったのだろうか?

「何かあったんすか?」
「ああ、特にこれといったトラブルではないよ。君に客人だ。」

そうしてアヴィケブロンが横にどく。
すると彼の後ろにいたのは

「ごめん…大変な時に来ちゃって…。」

舞だった。




「ちーず?」
「そ。なんか有名らしいよ」

場所は変わり外。
そこら辺のちょうどいい瓦礫に腰かけ、ボロボロの図書館を見ながら舞は何があったのかを尋ねてきた。

彼がここに来た本来の目的は小説の挿絵に関しての相談だ。
来る途中、遠くの方から半壊した図書館が見えたので、何かあったんじゃないかと慌てて来たらしい。

「匿ったイリヤちゃんと美遊ちゃんを奪いに来たんだよね。まぁ、追い返したけど…。」
「……。」

まぁ、追い返したのだけれどその代償はあまりにも大きすぎる。

「本はほとんどがダメ。色んなところから寄贈してくれた本も、ぜーんぶダメになっちゃった。」
「葵ちゃんの本は…?」
「一応は…無事。下書きはパソコンの中だからさ。」
「……。」

悲しげな顔をする舞。
あたしだって悲しいが、この悔しさのぶつけ所は分からないし、もうここまでされると笑うことしか出来なかった。

「弱いんだ。あたし。」
「……?」

ぶつけ所が分からない。
だから、自分にぶつけるしか無かった。


「あたしが強かったらさ、まだもうちょいマシな結果になれてたんじゃないのかなーって。」
「そんなことないよ。葵ちゃんは今でも充分強いよ…。」

そうフォローしてくれるけど、現に強くなかったからこうなったんだ。

「アンタみたいに絵を描いて戦ったり、やばい神様と繋がってるわけじゃない。
大和さんみたいにいくつもの死線を潜り抜けてきた猛者でもない。
それと、探偵さんみたいに咄嗟に機転の利く回転の速い頭の良さも持ち合わせてないしね。」
「……。」

と、突き放すようにそう言ってしまった。
イラついてるんだろう。誰でもいいから、愚痴をぶつけたかった。
それに理由は弱いだけじゃない。
要因はもうひとつある。

「あたしは、あたしじゃないのかもしれない。」

あたしは、葵として足り得ているか?

何をもって葵≠ニしているか?

あの時、蘆屋道満に言われたことがずっと引っかかっている。

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