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星河の覇皇
第八十七部第四章 首相官邸にてその六十二

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「そして昨日敵であってもな」
「今日は友である」
「そうしたことが常ですね」
「連合はそうした国ですね」
「まさに」
「そうだ、それで敵を一々暗殺していてはだ」
 そうしたことをしていると、というと。
「それこそな」
「味方になる可能性のある人物を自ら消す」
「そうなりますで」
「だからこそですね」
「連合では殆ど行われない」
 今現在政敵である人物を暗殺することはというのだ。
「そして私もだ」
「それは行われない」
「暗殺は」
「左様ですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「命を取ることにも抵抗があるしな」
「例え謀略を使われても」
「それでもですね」
「命に関わることになりますと」
「されないですね」
「だから刺客は行わないしだ」
 アッチャラーンにしてもというのだ。
「そしてだ」
「連合という国自体でも」
「殆ど使われないですね」
「その謀略は」
「ルネサンス時代のイタリアとは違う」 
 見事な文化が花開いた時代である、だが政治的には混乱した時代でありイタリアの諸国家都市達はそれぞれ謀略を駆使していてそこに暗殺も非常に多かったのだ。
「そこはな」
「あの時のイタリアは暗殺が常でしたね」
「謀略自体が多かったですが」
「刺客も多かったですね」
「ボルジア家も然りだ」
 カンタレラという毒薬で知られるこの家もというのだ。
「何かあるとだ」
「毒を盛り」
「そして刺客を送っていましたね」
「そうして多くの政敵を抹殺してきた」
「そうでしたね」
「ローマ教皇であったが」
 ボルジア家の主アレクサンドル六世である。
「しかしな」
「信仰よりも政治でしたね」
「右手に奸智左手に謀略で」
「暗殺も多用し」
「己の勢力を拡大させていきましたね」
「チェーザレ=ボルジアにしてもだ」
 そのボルジア家で最も有名な人物である、その教皇の息子だ。
「何かあるとな」
「即座にでしたね」
「謀略を使い」
「そして目的を果たしていましたね」
「そうだった」
 政治的なそれをというのだ。
「実の弟すらだ」
「その刺客を送り」
「そうしてでしたね」
「抹殺していますね」
「そうしていた、そして刺客を送るにはな」
 その絶好の機会はというのだ。
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